第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十五話 凶夜の警鐘 弐
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たかの様に萃香と虚空は同時に踏み込み、そして――――
静寂だった空間に鈍い打撃音が響き渡るとほぼ同時に何かが夜闇を飛燕の如く駆け抜け、神社の塀を豪快に粉砕しながら闇へと消えていった。
闘技場の上にいるのは拳を突き出した格好のまま固まり、目を点にして茫然としている萃香。
紫達も目を点にしながらゆっくりとその視線を破壊された塀の方へと移動させる。
一体何があったのか?そんな事は言わなくても分かっているのだが、理性がその事実を拒んでいた。
頭に浮かんでくる言葉は全員が一致している、それは ――――
“幾らなんでもそれはないだろう?”
全員の視線が集まる中、壊れた塀の先からヨロヨロとした動きをしながら吹き飛ばされた張本人の虚空が現れそして、
「いや〜〜強いね萃香!僕の完敗だ!アハハハ!」
笑いながらそんな事をのたまった、その瞬間――――
「「 こッ!のッ!ドォ阿呆ォォォォォォォォォッ!!!!! 」」
一瞬で間合いを詰めた幽香の右上段蹴りと、同じく間合いを詰めたルーミアの左上段蹴りが虚空の顔面に合体技となって炸裂した、それはもう芸術的に。
打撃点を支点に虚空の身体は空中で数回転した後、重力に引かれ地面へと勢い良くうつ伏せに落下した ―――― その様はまるで叩き付けられた蛙の如く。
倒れた虚空を更にルーミアは掴み上げ、今度は首を締め始める。
「あんたねッ!こんな時までふざけんじゃないわよッ!」
容赦なく締め上げられた虚空は呻き声をあげながら、
「グ、グェ〜ぐ、ぐるじぃぃぃ〜〜!い、いや〜予想外に強くて……あんなに怪我してるしイケるかな〜と」
「理由も最悪だけど結果も最悪よッ!」
「ルーミアちょっと代わりなさい、一発殴らないと気が済まないわ」
「ゆ、幽香も、もう一発入れてるじゃないか!」
そんな虚空の抗議の声に幽香は微笑みながら、
「さっきのあれは蹴ったから拳は別よ♪」
「理不尽だ〜〜!」
ルーミアと幽香による虚空への私刑が敢行されるのを紫達は黙って見ていた。正直に言えば庇護出来ないからである、あの二人がしていなければ紫と諏訪子がやっていただろう。
そんな漫才的な騒動を闘技場の上から萃香は未だ茫然とした表情を浮かべながら見ていた、展開に付いていけていないとも言う。
「あれ?萃香まだいたの?君の勝ちなんだからもう行っていいよ?」
ルーミアに踏みつけられながら虚空は萃香にそう言葉をかけた。
「……本当にいいのかい?」
萃香の疑問はもっともだろう、この様な展開で戸惑わない方が余程異常である。
「え?何々気が変わって僕達の仲間になってくれるの!」
しかし虚空
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