暁 〜小説投稿サイト〜
小説小ネタ倉庫
ハイスクールV×D ライド31
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
 初めて四季の持つ剣を見た時に思った感覚が間違っていなかったと確信した。この剣さえ有れば……力が有れば……この剣の前には聖剣などただの鉄くずだと。
 意識の中とは言え憎むべき聖剣(エクスカリバー)を砕くたび、それを扱う聖剣使いを切り捨てるたびに木場の体が力に浸食されていく。

「僕は……ぼくは……我は……」

 聖剣(エクスカリバー)を砕き、それ以外にも己の知る聖剣を、今まで扱ってきた魔剣を砕き、“教会”に属する者達を、天使達を血の海に沈めていく。

「はははははははははははははははははははははははははは!!!」

 師かばねの山の上に立ちながら狂笑を浮べる木場、この剣があれば、この力が有れば、この光景が現実のものになる。

 弱い事は罪なのだ……だからかつての己は仲間達を失った。だが、今は聖剣を越えるだけの力を手に入れた。
 弱さは罪……ならば砕かれた弱い聖剣は罪であり悪である。それに縋る教会も天使も神も……等しく罪人であり悪である。

「弱さは罪……強者こそ正義……力ある者こそが正義だ」

 己の内に有る世界の中から一歩ずつ現実へと戻っていく。声が聞こえるが、それは木場の心には届かない。かつての同胞達の声も、今の仲間達の声も木場の心には届かない。聞こえるのはただ心地よい力への誘いを囁く奈落竜の声のみ。

「あれ、そう言えば……。ぼくはなんのために聖剣をこえようとしていたんだろう……? ぼくはどうやっていきのびたんだろう?」

 暴力のみが支配する影の力を得て……騎士は邪悪なる影の騎士へと変貌していく。主の事も、失った同胞の事も、仲間達の事も……彼の心には無い。
 奈落龍の力に魅入られた騎士は……新たな影の騎士の盟主へと生まれ変わろうとしていた……。
 それは、かつて英雄に敗れた奈落龍の取り戻した高潔なる魂が戦場で散った騎士と一つになって新たな龍へと生まれ変わった様に、
 悪意の塵もまた……心の闇の中に、心の罅に入り込み、新たな……かつての暴力に支配された影の騎士を再誕させるかのように、



☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 半透明の彼の同士達が口々に言う。自分達は復讐など望んでいない、聖剣を恨んで等いない、自分達の分も生きていてほしかったと。

 だが、ガスト・ブラスターに侵食された木場の心にはかつての仲間の声も、今の仲間の声も、己の主君の声さえも届かない。

 ただ、赤黒く染まった瞳に憎悪だけを宿して復讐の対象であるバルパーとエクスカリバーだけを睨んで歩を進めていた。

「……完全に手遅れだよな……あれは?」

「どう言う事だよ……手遅れって?」

 四季の呟きに一誠が反応する。四季が一誠の問いに答える前に、

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ