第五話 第一層フロアボス攻略戦
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ウヤの全力の位置が気でベクトルを反転させられる。
ありえないほどの瞬発力。
ディレイに陥ったボスに、彼は笑みを浮かべて攻撃に移る。ボスの体力ゲージがみるみる減っていく。
ありえないほどの攻撃力。
まるで予知しているかのごとく、紙一重でボスの攻撃を躱し続ける。
ありえないほどの回避力。
たった一人でボスを相手取るリュウヤは、怒りや憎しみで戦っているようには見えない。
ましてや冷静な判断で、時間を稼ごうとして暴挙に出ているようにも見えない。
彼は、ただ目の前の敵を殺そうと狂っていた。
「……私もいく。パートナーだから」
キリトが剣を構えなおし突撃しようとしたその時、アスナが隣に並んだ。
本当は下がっていてくれと言うつもりだった。結果如何によっては華麗な剣技を見せるフェンサーの命をこの場で失いかねない。
「……分かった、行くぞ」
だがキリトの放った言葉は思っていることと反対の言葉だった。
彼女の瞳がこう語っていたのだ。
「行かせてくれ」と。
覚悟を決めた二人はリュウヤの加勢に入る。
だが二人は、彼に接近してからあることに気づいてしまった。
「ハアアああああァァァァァ!!」
リュウヤの剣が三本の軌跡を描き《インファング》の体を刻んでいく。
その動きはまるでシステムアシストに頼って動いているように見えるほど素早い動きだ。
対しコボルトの王は必殺に値するソードスキルの一切を封じ込まれていた。
まるで未来視しているかのように、モーションを起ちあげる直前にノックバックが起きるほどの強攻撃を浴びせられ、ディアベルへ放った一撃を最後にソードスキルを発動できていない。
これだけを見れば、彼だけで《インファング・ザ・コボルトロード》を仕留めることができるのではないかと思えてくる。
しかし、現実はそう甘くなかった。
パーティーメンバーにだけ見えるリュウヤの体力ゲージ。
残量ーーー十分の一。
すなわち、死の直前。
そう、彼らが気づいたのはリュウヤの《異常性》。
ソードスキルを使わせていないとは言え、通常攻撃は致命傷になりうる攻撃以外は避けようともせず逆に攻撃を加えている。
まるで死兵ーーーいや、その表現ですら生ぬるいだろう。
死兵は死を理解して、実感して戦う。
しかし彼は違う。死を理解していない。
もっと言えば、死という現象そのものを知っていないように感じる。
まるで機械。感情を共わない人の形を模した部品の集合体。
なにが彼をそこまでに駆り立てるのか。
想像すらできないが、今それを考えていても仕方ない。
キリトは剣戟が止んだ刹那を狙ってリュウヤへ駆け寄り、背中をつかんで強引に後ろへやった。
「スイッチだリュウヤ。あん
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