第五話 第一層フロアボス攻略戦
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を取らせたくない、キバオウが素直に指示を聞くような人物…………)
一瞬、思考が停止するが、すぐに再起する。
(ベータ時代を知っているかどうかは知らんけど、それを省けば一人いるよな)
つい、とリュウヤはある一点に視線を向ける。
そこにいるのは、レイドを率いて指揮をとるディアベル。
彼が一番黒に近い。もしこのボス戦が無事終了し、次のボス戦でまたレイドを率いることになるのはディアベルだ。
彼もこのことを傲慢でも意識過剰でもなく事実として認めているはずだ。
ならば、レイドリーダーとして、長を務める者として威厳を保たなければならない。リーダーシップや指揮力だけでない威厳を。
そこで打ってつけなのがボスのラストアタックボーナス。
これならば、目に見えるもので威厳を感じさせることが可能だ。ラストアタックをした行動そのもの、それに付随する実力。その二つを一度に示すことができる。
「さすが《騎士》、裏も裏でちゃっかりしてんなあ」
侮蔑でなく、純粋に尊敬の念をこめてつぶやく。
確かに私利私欲の全てを排除し、利益だけを追求するのならばディアベルがボスのドロップ品を獲得した方が理に適っている。
(俺も欲しかったんだけどなあ……ま、こんな状況でそんなワガママ言ってらんねえし)
一つの疑問を消化仕切ったところで、リュウヤは剣を構える。ディアベルに、ラストアタックボーナスを献上するがために。
だが、その決意は虚しくも霧散することになる。
リュウヤが思考回路を戦闘モードへとシフトしたその時、ボスの体力ゲージがようやく残り一本を切った。
ここからパターンが変わって、いっそう気を引き締めボスに攻撃しなければならない。
しかし、ディアベルの指示は予想外だった。
「よし!みんな一旦下がれ!俺がやる!」
リュウヤには意外だった指示は、他のプレイヤーにはそうではなかったらしい。全員少し後退し、ディアベルの次なる指令が来るまで待機している。
それを満足気に見たディアベルは一人果敢にボスへと走り出す。
当然、リュウヤは舌打ちした。
「バカ野郎……!そいつは勇敢な騎士じゃねえ、無謀な市民だ!」
届かない叱咤を口にしつつ、リュウヤは全力でディアベルへ追いつこうとする。無論彼の無謀極まりない愚かな挑戦を止める、もしくはサポートするためだ。
ディアベルに追走しようとしているリュウヤの後ろから、キリトの声がーーー叫びが聞こえた。
「ダメだ!全力で後ろに跳べーーーッ!!」
(チッ……クソッタレ!!)
本気で持ちうる敏捷力を全開にしてディアベルに手を伸ばす。
ギリギリ届いた彼の服を掴み、ディアベルを引っ張るのではなく自分をディアベルに寄せ、彼の脚を思いっきり払う。
(後
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