第五話 第一層フロアボス攻略戦
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ていた。
やりとりがひと段落し、ディアベルも落ち着いたところで、全員が気を引き締め直した。
「さて、もういいかな?ーーー行くぞっ!」
全員の顔を見回し、満足気に頷くとディアベルは扉を開いた。
開けて見えたボス部屋は広かった。どのフロアよりも広いのは確かだが、《ボス部屋》という情報からの錯覚か、現実的な広さより倍は広く感じられる。
皆がごくりと喉を鳴らしていると、壁際にある松明がボッ、ボッ、ボッ、と順に火を灯し始める。全てが灯った瞬間、部屋全体が明るくなり、玉座に座るボスが立ち上がる。
《インファング・ザ・コボルトロード》
騎士ディアベルが、愛剣を振り下ろす。
それとともに盛大な鬨の声を部屋に響かせながら、雪崩のようにボスへと立ち向かっていく。
第一層フロアボス戦の開始だ。
自分が抱いていた評価を改めなければならない。
アスナはそう思わざるを得なかった。
ボス戦が開始してからどれだけの時間が経っただろうか。分からないが、ボスを相手にする全プレイヤーの士気が高いのは変わらない。
それだけでも、アスナは素直にすごいと思った。相手は第一層のフロアボス。たった一度のミスが自らを死に至らしめるという状況下において、彼らはそれをものともせずダメージを加え、攻撃をいなし、防御する。
皆の剣技は見事だ。誰もがこの城で戦い抜いてきた猛者だというのが分かる。
しかし、そんな彼らすら凌駕する存在が二人。
アスナは目の前にいる《センチネル》へ《リニアー》の一撃を加えると「スイッチ」と叫んだ。
「スイッチ」
それを聞いた一人のプレイヤーが、同じく言葉を口にし、アスナと入れ替わる。
怯んだ《センチネル》に流れるような動きでトドメをさし、ポリゴンへと還るのを見向きもせず剣を振る剣士は、狙いを次の《センチネル》へと変えていた。
ーーー強い。
単純にそう思えるほど洗練された動き。まるで淀みのない徹底された効率的かつ効果的な一撃。
彼の動作一つとってもこの中の全プレイヤーで群を抜いている。
そんな彼に勝るとも劣らない異彩を放つ男が一人。
「そ〜らよっとぉ!」
たった一人で《センチネル》をポリゴンに還すおちゃらけたプレイヤー。
皆が引き締まった表情を見せる中、唯一ヘラヘラとしている男はしかし、アスナの隣にいる剣士と同等の実力者だった。
《圏内》では一切の装備をつけていなかったが、やはりかなりの軽装だった。アスナと同じく見ただけでわかる回避型の防御スタイル装備。藍色のジャケットに黒のパンツ。インナーは紺色と、冷色を好むらしい。単純に性能でえらんでいるかもしれないが。
剣はキリトと同じ。なのに、使い方がまるで違う。
キリトは一撃重視な
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