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101番目の舶ィ語
第ニ話。夜霞のロッソ・パルデモントゥム
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て有名なんだから!」

都市伝説の解釈によって、ロアの能力は変わるみたいだな。
大勢の女の子を攫う為には、多くの手がないといけない。
そう彼女が考えたから多くの手を操る能力を得たということなんだろう。
その大量の白い腕に周囲360度を囲まれてしまった一之江は身動きが取れない状況に追い詰められている。

「ちぇっくめいとー!」

その大量の腕が一斉に一之江に襲いかかり、一之江の体は、何もない空間の中に沈み込むかのように消えてしまった。

「い、一之江ぇぇぇぇぇ??」

俺の叫び声が俺と『赤マント』しかいない廊下に響き渡る。

「やった! サイキョーと言われている『月隠のメリーズドール』をこのわたし『夜霞のロッソ・パルデモントゥム』がやっつけたわー!」

『赤マント』が大量の腕を握って喜びを噛み締めるように、天高く突き上げた。
そして。
その直後。
俺の視界は揺らぎ。

「ぐがあああ」

ズキンと頭の中で何かが暴れるような感触を感じた。
まるで頭の中を虫が這いずり回るかのような感覚。
その瞬間。
俺の視界には男になった(・・)『赤マント』の姿が目に入った。

奪え。
奪い返せ!
許すな。奪え。
闘って……奪い返せ!



「ユルスナ」

ドクドクドクドクドク……。
血流が激しさを増して体の芯に集まる感覚を感じて。
自分が自分で無くなるかのような感覚を感じた。

これは______ヒステリアモード……?
いや、違う。この焼けつくような胸の鼓動は……??
二度、三度、その鼓動が走った。
どういう事だ。
この頭に血が上り______何も考えられなくなるような感覚。
ヒステリアモードよりももっと獰猛なこの感覚は……。

______ヒステリアベルセ。

女を奪うヒステリアモード。

俺がそれを認識したその時。
俺のDフォンが鳴り出した。
メールが届いた。
差出人は……キリカだ。

『残ってた力を使ってモンジ君の頭の中に残っていた蟲さん達にお願いしたよ。頑張ってね、モンジ君』

画面には短くその文面しか書かれていなかった。

どうやったのかなんて解らない。
解ったのは、目の前の少女が男に見えるのはキリカの仕業だということだけだ。
俺は廊下の壁に寄りかかるようにして手をつき、胸を掻きむしった。
もう______止められなさそうだ。この流れは。
確か、ベルセは……危険なモード。
戦闘力は通常のヒステリアモードの1.7倍に増大するが、その代わり……思考が攻撃一辺倒になる。
いわば諸刄の剣______だったな。
______だが、それが何だ。
もうそんな事、どうでもいい。
どうでもいい、何もかも。
俺のパートナーを奪うなら取り返してや
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