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101番目の舶ィ語
第ニ話。夜霞のロッソ・パルデモントゥム
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両腕でガードして止めるくらいの威力と速さを兼ね備えているキックだった。

「やるじゃない!」

「貴方もキャラの割に強いですね」

「え、何?? キャラの割にって」

「こう……元気っ娘っていうのは咬ませ犬なのがこの業界の通例ですからね」

「そんなことないよ?? 元気っ娘=主人公クラスだよ!」

そう叫びながら放たれる赤マントのパンチ。
これもまた視認できないくらい速かったのだが、一之江は腕でガードすることによって防いでいた。
今の俺が視認できないくらい速いってことは、もし、あのまま俺が戦っていたらまるで相手にならなかったということなんだろうか。
そして……負けて消えていた、のかもしれない。
いや、弱気になるな、キンジ。
まだ俺は負けた訳ではない。
相手の攻撃が認識できないくらい速かったとしても、俺にはまだ切っていない切り札があるのだ。
そう、今の俺は普段の俺だ。
ヒステリアモードじゃない。
俺にはまだヒステリアモードというジョーカーがあるんだから。

「くぅ、そんなにヒョイヒョイかわさないで!」

「当たったら痛いじゃないですか」

「ん? もしかして、防いでいる攻撃以外にも何か躱したりしてるのか?」

「何言ってんの! 目にも留まらぬ早技で頑張ってんじゃん!」

いや、目にも留まらぬからその速さで何が起きてるのか解らないのだが。

「モンジにはまだ解らないのかもしれませんね、いいですか、こういう素早い相手の場合、まずは視線を見て、それから相手の体の軸を見るんです。すると、次にどこを狙って攻撃するのかが解るから、目に見えなくても避けられるということです」

「……なるほど」

さらっと攻略の仕方を暴露する一之江。
目で捉えられない攻撃でも防ぎ方を知っていれば、それほど脅威にはならないからな。
戦闘中にもかかわらず、素早い敵の攻略方法をレクチャーする一之江に感心していると。

「なるほど……そうだったのね……」

赤マントの少女も俺と同じように感心していた。
この子は強いけど、アホな子なのかもしれないな。

「じゃあ、これならどう??」

赤マントをバッと広げて叫んだ。

「『怪人の手(マジシャンズハンド)!』」

その瞬間、一之江の周囲に大量の白い腕が一斉に生えて、ざっと数えただけでも軽く百は超えるほどのその腕が何もない空間と床からも生え。
その一本、一本が赤マントの手だ。
白くて愛らしい少女の手。それが無数に蠢き。
完全に球形に囲みように出現していた。

「空間を超えて、無数の手を生み出す能力……ですか。これは凄い」

「でしょ! しかも、引き込んで攫っちゃう能力だもんね! 『赤マント』はたくさんの女の子をこの手で攫ったっ
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