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101番目の舶ィ語
第ニ話。夜霞のロッソ・パルデモントゥム
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き渡った。

「間違いがありますね」

肘の辺りまでその空間に沈みかけているのにもかかわらず、一之江は穏やかな声でそう告げた。

「私は『美』少女です」

「「そこ重要なのかよ(なんだ??)」」

思わずツッコミを入れてしまった俺と、『赤マント』の少女の声が重なった。

「いやいやいや、でも、少女である以上は攫っちゃうんだから!」

「実はこう見えて、私の正体は妖艶な美女なのです」

「えっ、うっそ??」

『赤マント』のその手がピタっと止まった。
どうやらこの子、力はかなりあるが頭は残念なようだ。
一之江の嘘に翻弄されまくっている。

「ほら、モンジ。貴方も何か言いなさい」

「え? あー……うん。 ミョウレイノビジョ、ダヨ?」

「えええっ??」

「ていっ!」

『赤マント』の少女が驚きのあまりにその手を緩めた瞬間、一之江はその僅かな瞬間を見逃さずに『赤マント』の手を掴み、空間から引き抜いた。

「きゃわわわ??」

スポーン、とその空間から出てきたのは、赤いマントを羽織った少女だった。

「攫ってしまいました」

「なんと、わたしが攫われてしまったのね! そいつはビックリだわ!」

それはやたらと元気な女の子だった。
金髪のくるくるドリルヘアーが目印の、まだ幼さの残る顔立ちをした少女。
幼い顔立ちとは裏腹に、その表情には勝気さと自信に満ち溢れた、なんとも眩しい笑顔が彩られていた。
そして、その顔には見に覚えがあった。

「確か……十二宮中の女子トイレ前にいた」

「あ! あの時、女子トイレを盗撮していた変態ね!」

待て、誰が変態だ!

「盗撮なんかしてねえよ!」

「誤魔化そうとしてもそうはいかないんだからね! ちゃんと見てたんだから!」

じとー、とした目で俺を見つめる『赤マント』。
その目は完全に不審者を見つめる目だった。

「モンジは盗撮なんてしませんよ?」

チキショウ、美少女に盗撮犯扱いされるとは……。
さすがは不運に定評のある俺だぜ。
この状況をどうするか悩んでいると。
かなり珍しい事に一之江が助け船を出してくれた。

「モンジは盗撮ではなく、堂々と女子トイレ内を撮影するかなりの変態ですから」

「うわぁー、ド変態なのね!」

「どうせそんなことだろうと思ったよ??」

「ちなみに妖艶な私はとても可愛いらしい『美』少女でもあります」

「結局、どっちなんだよ??」

「って、やっぱり少女じゃん!」

俺がツッコミを入れるのと同時に、『赤マント』の少女は一之江の姿を見て抗議した。

「その通りです。ですが実は妙齢なのです」

「え、そうなの?」

嘘か本当か、確
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