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ホワイトハウス
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第一章

                          ホワイトハウス
 ホワイトハウスには前から噂がある。それは。
「ああ、あの人の幽霊がか」
「出るんだって?」
「そうらしいな」
 こうだ。そのホワイトハウスを見学する学生達が話していた。
「リンカーンの幽霊な」
「それ結構有名な話だよな」
「ああ、俺も聞いたよ」
「俺もだよ」
 彼等は皆聞いていた。見れば肌の白い若者もいれば黒い若者もいる。黄色い若者もいる。如何にもアメリカらしく学生は年齢以外は多彩である。
 その彼等が文字通り白い建物の中を見回りながらだ。話をしていた。
「暗殺される前にも出たらしいよな」
「自分が暗殺されて送られてくる列車を見たって?」
「あと自分の死を嘆く人達を見たとか」
「そんな話もあるよな」
 アメリカでは有名な話だ。無論世界中でもだ。
 アメリカの学生である彼等もそのことを知っていてだ。今そのホワイトハウスで話すのだった。
「本当にいるのかね」
「どうだろうな。幽霊自体いるかどうかわからないからな」
「イギリス人はいるって言うけれどな」
 イギリスといえば幽霊である。幽霊に住民票があるような国だ。
「本当にいるかどうかな」
「それ確めてみるか?」
「だよな。ちょっと中をじっくり見回してな」
「見てやろうか」
「そうするか」
 かなり軽い気持ちでだ。彼等はそのことを決定してだ。
 ホワイトハウスの中を見回ってみた。しかし見学の人間と案内役以外は誰も見当たらない。当然大統領も見ることはない。
 そのことについてもだ。彼等は話をした。ホワイトハウスの中を見回りながら。
「あれっ、俺達の大統領は何処だ?」
「いないよな、ちょっと」
「おかしいな。ホワイトハウスなのに何でいないんだ?」
「ここ本当にホワイトハウスか?」
 こうまで言われる。しかしだ。
 ここでだ。彼等の中の一人がこう言った。
「ああ、それも当然だよ」
「当然って?大統領がいないことがか」
「当然だっていうのかよ」
「だってよ。見学できる場所と大統領が仕事する場所は別の階なんだぜ」
 彼はこういぶかしむ友人達に話した。
「分けられてるんだよ」
「ああ、大統領の仕事の邪魔にならないようにか」
「それで分けてるんだな」
「そうなんだな」
「ああ、そうだよ」
 まさにそうだとだ。その学生、ラテン系と思われる縮れた黒髪に赤っぽい色の肌の若者が話す。
「だからここには大統領はいないんだよ」
「そういえばホワイトハウスっていっても広いよな」
「確かに。こうして見回してもな」
「まだ見ていないところあるしな」
「本当に広いな」
 見回って見て実際にわかることだった。その広さがだ。
「これじゃあ幽霊がいるかどうかちょっ
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