暁 〜小説投稿サイト〜
鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
序章 Twin Bell
1.鐘を鳴らす男、来たる
[5/6]

[1] [9] 最後 最初 [2]次話
れたんだとまで聞かれたよ。手に握ると馴染む感じはあるんだが、これを修理するには、ン百万ヴァリスはかかるそうだ」
「何だって!?それではとんでもない業物じゃないか!本当にどうして折れたんだろうね……」

 確かにそれは大金だ。とてもではないが今のヘスティアでは逆立ちしたってそんな金は出てこない。……というか今夜の食費すら不安があるほどに財布の中が寂しい。友神の一人に修理が出来そうな神はいるが、多分無料で受け付けてはくれないだろう。今まで散々甘えたのだし。

「何故折れたのかは謎のままさ。当然ながらそんなお金は生憎持ち合わせがないから修理も出来ず、折れたまま。それに、これは手掛かりにはならなかった。この剣はオラリオで作られた物ではないそうだ」

 剣を仕舞った青年は、改めて手帳を持つ。

「そこで俺が注目したのがこの日記だ。恐らくは俺が書いたものだと思う。この日記は内容が主観的すぎて読み取れる情報が少ないのだが……まずはこれを見てくれ」
「なになに……『あのロキ・ファミリアの「剣姫」アイズのレベルが6に達したらしい。周囲からすると凄いらしいが、俺にはイマイチあのじゃが丸狂の凄さが伝わってこない……』これは、確か一昨日くらいの……?これが正しいなら君は街に居たってことかい?」
「最初はそう思いもしたんだがね。次はこっちを見てくれないか?」
「ええと……『第5層にミノタウロスが現れた。ロキ・ファミリアの狩り損ねらしいが、おかげで新人冒険者が一人死にかけた。あのベルという少年も運が悪い……』5層にミノタウロス?そんな話、聞いたことがないんだけど……」

 ミノタウロスと言えば確か10層後半に現れる強力なモンスターだ。もしこのようなことが起きれば今頃大騒ぎになっている筈なのだが……と疑問に思ったヘスティアは、そこで日記のおかしなことに気付く。

「んん?この日記、日付がおかしくないかい?これ、1週間以上先の日にちになってるよ」
「流石は女神!素晴らしい慧眼だ!俺もそこが気になって、実はデタラメが書かれているんじゃないかと疑ったんだ。だが――実は俺がこの日記にあったアイズ嬢のレベルアップを読んだのは1週間前。そして実際に彼女のレベルアップが話として伝わった日はそれより後。日にちが離れているにも拘らず、この日記の内容は現実とピタリと一致している。そこで俺はピンと来たんだ」

 青年は不敵な笑みを浮かべてヘスティアの方を向く。
 まるでもったいぶっているようなそれは、悪戯っぽくてチャーミングな微笑みだった。

「――この日記には、信じられない事に『未来』のことが書かれているんじゃないか、ってね」
「み、未来のことが書かれた日記ぃッ!?」

 そんなアイテム聞いたことがない。未来予知の出来る神ならいざ知らず、そんな個人的な日記に
[1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ