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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
序章 Twin Bell
1.鐘を鳴らす男、来たる
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であろう彼らが、イデアという少女と共に笑顔で描かれている。家族の事を覚えていない彼でさえ、そこから家庭のような暖かさを感じる事が出来た。

「………よし!どうせ生活資金を得るには働かなければならないのだから、一足先にこのファミリアとやらに入ってみるか!!」

 そうと決まれば話は早い。青年は自分の借屋に置かれた護身用の槍といくつかの私物、そして黒い鞘に納められた黒い剣を腰に差し、部屋を飛び出していった。

「へい、兄ちゃん!今日も女の子を口説きにお出かけかい?」
「ああ、少しね!ひょっとしたらもう帰ってこないかもな!」
「そりゃいいぜ!タダ飯喰らいが一人減る!記憶は思い出したか?」
「いいや、全然!!」
「ヤレヤレ……Ring a bell(思い出せよ)!!」

 青年は軽く手を上げてそれに応えると、町の人ごみに消えて行った。



 = =



 その日もヘスティアは憂鬱だった。

「はぁ〜〜……一体いつまで待てばボクのファミリアになってくれる子が現れるのかなぁ」

 下界に降りてヘスティア・ファミリアの運営を始めて幾星霜(というほど時間が経ってはいないが)、友神には見捨てられ、肝心の眷属(ファミリア)も集まらず、余りの貧乏にバイトをしながら日々の生活資金を稼ぐ。そしてねぐらは勿論お金をかけられずにみすぼらしい教会……自らのファミリアを持ちたいという願望ばかり先走りし、彼女の生活は極貧だった。
 この町、地下迷宮を中心に発達した「オラリオ」ではたとえ神であってもこんな風になってしまう。この町に降り立った神の中でも比較的新参者のヘスティアにとっては、なかなかに精神に堪えた。

 その日もヘスティアはバイト疲れに肩を落としながらとぼとぼ帰宅していた。

 ――だが、その日は今までと違う、特別な日になる。

「あれ?教会に明かりが……おかしいなぁ、今は誰もいない筈だけど。勝手に入ってるってことは泥棒……なわけないか。盗るものないもんねー」

 と、自分で極貧宣言してしまい「ぬあぁぁー!自分で言っちゃったー!!」と自己嫌悪に悶えつつも、不信に思ったヘスティアは教会の中の様子を伺う。もし万が一本当に犯罪者だとまずい。何故ならオラリオに降りてきた神はその神格としての力を制限され、人間とほぼ変わらない身体能力しか持ち合わせない。
 ないとは思いたいが、襲われたりしたらロリ巨乳と揶揄される小柄な体では対抗できない。
 そおっと入口から中を覗きこむと、そこには一人の青年がいた。

「うーむ……本当にいないようだな。手帳では確かにここが『ヘスティア・ファミリア』の拠点の筈なんだが。……うん、日付的にも既にファミリアを始めている時期の筈だ。……留守か?」

 一人で何事かを呟いている青年は、寒冷地域
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