第四十三話 祝福と蠢く影
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「「ごめんなさい……」」
そうだ、私たちは叱られても仕方のないことをしようとしたんだ……。新たな命の誕生に喜んで、浮かれていたのを差し引いてもあんな常識外れの事をするべきではなかったんだ。そう思うと私は恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じた。
「まぁまぁメディ殿。それくらいで勘弁してくれないだろうか。彼女達も浮かれてしまっただけでしょうし」
ゲバン大臣がメディさんを宥めた。メディさんの方も私たちが反省しているのをわかったからかそれ以上は怒らずため息をついた後「次同じ事をしたら部屋から出てってもらうからね」と言った。
「「はい……」」
恥ずかしさと申し訳なさで私達は顔を上げる事が出来なかった。
「オジロン様。お祝いはともかく先ずは国民に伝えなくてはいけませんな」
「うむ。その通りだ、大臣」
「それでは私は準備をして参りますので」
「ああ、私も一緒にやるよ」
オジロンさんとゲバン大臣が出て行くと、それを皮切りに他の人達も退室し、後に残っているのは私達2人とメディさんとビアンカと赤ちゃんだけになった。
「そろそろあんた達もお行き。もう寝る時間だよ」
「はい。お休みなさい」
私達は挨拶をすると部屋から出た。
「……ごめんね、ドリス。怒らせるような事言って」
自室への廊下を歩きながら私はドリスに言った。もう随分と遅い時間だったから周りに誰もいなくただただ静かだった。
「気にしてないわよあたしは。でもあたし達がした事は恥ずかしい事だった」
周りの沈黙がいっそう強くなった。しばらく黙った後再びドリスが口を開いた。
「だからもうあいいう恥ずかしい事はしないようにね。あんたあと少しで成人でしょ?」
そっか。忘れていたけどこの世界では成人は16からなんだ。 ……『影響』も何もなく私が普通に「ミレイ」ではなく「小宮山ミレイ」としての人生を歩めたら高校生になっていたはずだ。もしそうだったらどんな部活に入っていただろうか、どんな委員会に入っていただろうか、どんな先生と出会ってどんな友達と出会ってどんな先輩に出会っただろうか、バイトはしていたのだろうか、だとしたらどんなバイトをしていたんだろうか他にもどんな思い出を作れただろうか。それを考えた、考えてしまっただけで胸が締め付けられたように痛くなった。
「ミレイ?どうしたの?」
黙っていた私を不審に思ったのかドリスが顔を覗き込んできた。
「な、なんでもないよ。気にしないで、私ここの部屋だからじゃあまた明日ね。お休み」
「お休み」
ドリスと自室の前で別れた後私は部屋に入るとベッドに沈み込んだ。
「私、いつまで友達や仲間の前で嘘付き続けなきゃいけないんだろう。……とっても
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