エピソード35 〜もけデュエル〜
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「あ〜、面倒な事になったな〜。」
ごろりとコンクリートの床へと寝転がり、青空を眺めながら一人呟く。
あのままデュエルフィールドを後にした紫苑は一人罪悪感と後悔に苛まれていた。ほぼ無意識のままに歩いており、いつの間にかアカデミア校舎の屋上に出ていたのだ。
屋上を吹き抜ける風を浴び、ついさっき起こったデュエルの事を忘れるために昼寝でもしようと思い、横になったのだが、一向に眠気はおりて来ず、むしろ忘れようと思う程に後悔が増す。
そんな中、ふと思う。
あぁ、これが相手をリスペクトしないって事なのか、と。
相手の行動を潰し、自分の有利な展開を作る。だが、それは相手から見れば、何もできずただ喰われるのを待つのみ。
別に紫苑は今のスタイルを変えるつもりはない。だが、本当にアレでよかったのかと疑問に思う。デュエル以外にも、他の解決策もあったのではないか、と。
『……紫苑さんは、悪くありませんよ?それは私が保証します!』
「ん……?エアトス、か……。」
いつの間にかエアトスが側に居り、真上から覗き込むようにこちらを見ていた。
「そう言われてもね……。確実に学園に居辛くなるのは確定だしな〜。どーしようか……ん?」
ふと、エアトスとは別の気配を感じる。
警戒の意味も込め、とっさに体を起こし辺りを見回す。結果見つけたのが
『もけもけ〜。』
『キャ〜!もけもけですよ!紫苑さん!』
「……おいおい。」
癒し系モンスターの代表格である『もけもけ』がエアトスの腕に抱えられた状態でそこにいた。エアトスは凛々しい顔をだらしなく崩してもけもけに頬ずりし、されているもけもけも満更でもないのか、心地良さそうにもともと細い目をさらに細くさせている。
「けど、もけもけが此処に居るって事は……、まさか?」
もしやと思い、振り返るとそこにそいつは居た。
「やぁ。来ちゃった。」
「もけ夫!?」
もけ夫と呼ばれた膝に穴の空いたズボンとくたびれたシャツを着、オベリスク・ブルーの制服を引っ掛けただけの少年はやぁ、と片手を上げ再び挨拶をし、紫苑の横に胡座をかいて座る。
「やぁ、じゃない!?確か、隔離されてたはず……じゃなかったか?」
「ん?アレはただ、僕が出ようと思わないからさ。出たいと思えば簡単に出れるよ?」
まぁ、あんな楽園。そうそう出たいとは、思わないけどねー、とあっけらかんとした答えるもけ夫氏。
紫苑はそれでいいのか、デュエルアカデミア!?と突っ込みたいのをグッと我慢する。
「け、けど。なんで出て来たんだよ。第一、外に興味なかったんじゃ?」
「ん〜、僕のもけもけ達が急に騒がしくなってさ。それに校舎の方からすっごい強い精霊の力を感じたから来てみたんだ。」
テヘペロ
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