Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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宝石に変わるように。しかしキュルケはルイズと比べて、目の前の少年に何か違うものを感じた。
「で、部屋を出たって事は、目処は立ったのね?」
「ああ。明日は僕をいじめていた連中の驚く顔が目に浮かぶよ。
そうだ、せっかく来たんだ。今日はこの屋敷に泊まるといいよ。客室は常にメイドたちが掃除しているから心配は無い」
泊まることを勧められたタバサ。今回の任務は目の前の彼、オリヴァン少年を学院に通わせることだ。これ以上この場に留まる理由などなかった。だから本来ならせっかくのもてなしとはいえ断ることも選択肢の一つとして捉えるべきだろう。
「…ありがとう」
「タバサ!?」
しかし、タバサは泊まることを受託した。キュルケはそれを聞いて驚いた様子を見せたものの、タバサは決断を変えなかった。
「タバサ、どうして泊まる気になったのよ?もうここに用は無いはずよ」
その夜、客用の寝室に案内されたキュルケは同室のタバサに、用事は済ませたはずなのにド・ロナル家への停泊を決めた彼女に理由を問う。
「…キュルケもおかしいと思ったはず。引きこもるほどのいじめを受けた人間が、そう簡単に家を出るはずが無い」
「…」
考えてみればキュルケもオリヴァンの態度がどこか怪しいと思うようになった。自分の両親やメイドが心配をかけるほど部屋に閉じこもっていたというのに、何かのきっかけが起きたかも不明なまま部屋から飛び出してきた。何の理由もなしにこんなことが起こるだろうか?部屋に閉じこもるのが嫌になったのなら、あんな爽やかな表情を浮かべるだろうか。
キュルケもこれには違和感を覚えた。
「思い過ごしかもしれないわよ。それにうかつに首を突っ込んであなたに危害が及んだら…」
もしあのオリヴァンに怪しい何かが無かったら不敬罪、あったら秘密を守るために、逆に始末される、といういやな未来が待ち受けている気がしてならない。
「ガリアにしこりを残すことは、ガリア北花壇騎士である私には許されていない」
こう言われると、キュルケは言うことが見つからなくなる。心をなくした母親を守るべく戦う少女は、同時に母の命も握られている。彼女の言うとおり少しでも何かしらのしこりが残したことがいずれジョセフ王たちにも露見されてしまえば、タバサにも彼女の母にも何をされるかわかったものではない。
タバサに残された選択肢は、ただ一つ。ド・ロナル家での任務を果たしつつ、裏を見極めることだった。
「まずは明日、当初の予定通り彼の学院生活を観察する」
次の日、与えられた任務どおり、タバサとキュルケはオリヴァンを学院へ連れて行った。形ばかりの登校の手伝い。それでも馬車に乗ってひとまず学院に向かう。
これから向かう学院『リュティス魔法学院』はトリステイン魔法学院と異なり、国内外でも裕福で有力な貴族の子たちしか
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