Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
[7/22]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しこまりました!!」
オリヴァンは頼むよ、と一言言い残し、階段を降りて行った。
「…意外と心配なさそうに見えるけど」
アネットだけではない。キュルケも目を丸くしていた。不登校になっていたという話がまるで嘘じゃないか。あんな爽やかフェイスを見せ、しかも特に自分たちが何かをしたわけではないのに、学院に自ら通うと言うとは。
「え、ええ…入学してから間もない頃、坊ちゃまはすっかり部屋に閉じこもって一向に出てこなかったのに…でも、よかった。坊ちゃま自ら自分の殻から飛び出してくださって」
動揺こそしていたが、アネットはオリヴァンが部屋から出てきて、自ら学院に通うことを決断したことに喜びを覚えていた。しかし、タバサは黙り込んでいた。
「え、あ…すみません騎士様方!せっかくご足労なさったのに…」
彼女が口を開かなくなったことに、アネットはもしやタバサが自分たちが結局無駄足になったばっかりに不機嫌になっているのではないかと恐れを抱いた。
しかし、タバサは気にしなくていいと言うと、黙ってオリヴァンが降りて行った階段を見下ろした。
「彼と話をしてくる。あなたは彼の言われたとおりにして」
「は、はい…」
タバサはアネットにオリヴァンからの命令に従うように言うと、アネットはすぐ他のメイド仲間たちを呼びに向かい、タバサとキュルケはオリヴァンを追う。
彼は言っていた通り、書庫で自主勉強の準備のため、数冊の本とノート、羽ペンを持ってテーブルに座っていた頃だった。
彼は二人が来たことに気づくと、さっきと同じ明るい表情で彼は出迎えた。
「おお、お客人。こんなところまでご足労頂くとは。しかし済まない。気の利かせが足りていなかった。せっかく来たお客人にもてなしを忘れていたなんて」
「別にいい」
「早速尋ねるけど、どうして学院に通わなくなったのよ」
タバサとキュルケはオリヴァンのテーブルの向かい側の席に座り、不登校になった理由を問う。
「…簡単に言えば、いじめられていたのさ。僕は」
「いじめ…」
なるほど、簡単な…しかし精神的にはかなりきつい理由だった。
「僕は外見が見ての通り丸々太っていてね。しかも魔法の才能も乏しい方だ。いじめっ子たちの的にされるのも無理は無かった」
「じゃあ、どうして急に学院に通う気になったの?」
今度はタバサから質問が飛んできた。
「不登校になったのは、やはりあいつらの罵声に嫌気が指したからだ。でも、父上たちが僕を心配して君たちをよこしたように、僕も内心このままではいけないと思っていたから、なら学院にもう一度通うその日まで、一人魔法の特訓をしようと思ったんだ」
「魔法の特訓ねぇ…」
話を聞く限り、この少年もルイズと同じ境遇にも思えてくる。才能が無いのなら、無いなりに努力する。最初は光るものの無い石ころが磨かれた果てに光り輝く
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ