Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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敷の主人であるド・ロナル夫妻は仕事で外出してばかりでほとんど屋敷に戻ることがないらしい。外で話すのもなんだろうと言うことで、メイドの女性『アネット』に屋敷に案内してもらい、タバサとキュルケは肖像画を並べられた長い廊下を歩き、客間のソファに座った。
「ところで、本当に今回の任務って、不登校児を通わせるだけなの?」
キュルケからの問いに対してタバサは黙ったまま頷く。北花壇騎士という秘密部隊に身を置いているとはいえ、タバサはガリアの騎士。普通に考えれば、こんなつまらないことで呼び出されるべきはずない。
「はい…奥様はとにかく、『オリヴァンをド・ロナル家の跡取りに相応しい男に育てるには、やはり学院に通わせるしかない』とのことでして…」
アネットも補足を着けるように口を開いた。
「不登校になった理由はわかるわけ?」
ため息を漏らしながらキュルケは、そのオリヴァンと言う少年の不登校の理由を問う。
「…いえ、それが…旦那様たちは一切お話してくれませんでした。問い返そうにも、私たち平民ごときが、旦那様たちに強く問い詰めることができるはずもないので…」
アネットもこんなことで騎士を呼び出すことになったことに違和感を覚えているようで、すっかり困り顔だった。
「ならせめて、お坊ちゃまに直接私から問うてみたのですが…ぼっちゃまは一向にお話をしてくださらないのです」
「…案内して」
いや、相手の事情がなんであっても、タバサの任務はあくまで『不登校児であるオリヴァンを登校させる』ことだけだ。同年代の男子の人生相談などではない。
「わかりました。こちらへ…」
アネットはタバサに従い、二人をオリヴァンの部屋の部屋の前へと案内した。オリヴァンの部屋は二階の方に置かれていた。アネットはマンティコアの紋章が刻まれた扉の前に立ち、ドアを軽くノックした。
「坊ちゃま、アネットです。扉を開けてくださいませ」
しかし、扉の無効からの返事は無くシーンと静まり返っている。
「坊ちゃま!どうかあけてくださいませ!アネットです!」
二度目のノックに対してもノーリアクション。ならドアノブに手を掛けてみるが、鍵が掛かっている。本当ならアネットのほうが悩むはずだが、キュルケも頭を抱えてしまう。
「はぁ〜、完全に引きこもっちゃってるわね。それに、扉の向こうからなんか臭うわ。メイドたちにも掃除させてないの?」
彼女が言ったとおり、扉の向こうから、いろんな臭いが入り混じった切ない臭いが漂っている。まるでこの扉の向こうに、ごみの中から誕生した怪獣でもいるのかと思える。
こういった男とは付き合えないな、とも思った。キュルケの好みとは間違いなくかけ離れている奴がこの屋敷の坊ちゃんなのだろう。できればサイトやシュウのようなキュルケ視点でイケてるいい男を期待したかったのだが。まぁ今回は自らタバ
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