Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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からどうした!僕がまずいといったらまずいんだ!」
我侭を言っては、せっかく料理を作ってくれたアネットを困らせる。他人から見ればあまりに情けない。
しかしこの我侭な発言は、今のアネットを安心させた。いつもの、自分の知っているオリヴァンの姿そのものだった。きっと思い過ごしだろうと、アネットはほっとした。結局オリヴァンはにんじん以外にも自分が食べたくない分を残してしまい、皿はオリヴァンの唾液交じりの残飯が積み上がっていた。
「ではお坊ちゃま。私はこれで」
ほっと一息つき、アネットは残飯の積んだ皿を載せたお盆を持って部屋を後にした。部屋のドアを閉め、ほっと一息ついたアネット。
(やっぱり、私の知っているお坊ちゃまのままよね…)
やはり自分たちの思い過ごし。きっと強力な魔法を使ったのも、何かの間違いだ。もしかしたらあらかじめ雇っておいたメイジを茂みの中に隠し、その人に魔法で攻撃し、あたかも自分が攻撃したかのように見せかけていたに違いない。
さて、思わずうかつにオリヴァンの前に現れてしまったが、タバサに何も異常はない、と伝えておこう。そう思って廊下の方を振り返ったときだった。
「え…うっ!?」
いつの間にか、彼女の前に同じメイド仲間の一人が立っていた。彼女はアネットが認識する間も与えず、彼女の腹にドゴッ!と拳を打ち込み、アネットを昏倒させてしまった。意識が薄れ行く中、アネットはわずかな視界の先に自室から姿を見せたオリヴァンが自分を見下ろしているのが見えた。かすかに笑い声が聞こえる。
アネットは一筋の涙をこぼし、そのまま意識を手放した。
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