Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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オリヴァンはそれを怠っていたようだ。
しかしそれ以上にアネットは気になる。誰かと話しているのか?タバサとキュルケ以外にこの屋敷に招き入れた人物はいなかったはず…。
まさか、皆に内緒で誰かを連れ込んでいるのか!?しかも『あなたのおかげ』というオリヴァンのたった一言。会話の内容を聞く限り、オリヴァンが招き入れたその人物が、ドットクラスだった彼を急にスクウェアにレベルアップさせた張本人だろうか。
「えっと…やりすぎないほうがいいって?それはまぁ…大丈夫でしょう。証拠なんて形にできなきゃ意味ないですよ。ディテクトマジックにも引っかからない方法でここまで力が沸いたんですから。…わかりましたよ。次からは控えます」
傍から聞くと、奇妙な独り言。しかし、間違いなくオリヴァンは誰かと話している。いったい誰と話しているのだ?
もし異常があれば、タバサは知らせるように言っていた。何か得体の知れないものを感じた以上、ここでタバサたちの下へ、オリヴァンに悟られること無く戻ること。
しかし、アネットは首を横に振った。
(…いえ、オリヴァン坊ちゃまは、私にとってどこまでも…)
なんと彼女はドアノブを回し、部屋に入ってしまったではないか。傍から見たら愚かな選択だったのかもしれない。しかし頭でそうだとわかっていても、アネットはドアを開いてオリヴァンの部屋を訪れた。
急に部屋に入ってきたアネットに、オリヴァンは思わずその身をびくつかせた。その様は、いつぞやのただの臆病な貴族のわがままお坊ちゃんであったオリヴァンその人の姿だった。
「な、なんだよアネット!ノックしてから入れよ!無礼な奴だな」
「申し訳ありません。ノックはしましたが、お坊ちゃまのお返事がございませんでしたから」
「人のせいに……ふ、ふん。まあいい。それで何の用だ?」
人のせいにするな、とそれこそ人のせいにしている台詞を吐こうとしたが、口をつぐんでその言葉を自ら遮り、彼は要件を問う。
「お食事をお持ちしました」
「おお、もうそんな時間か…わかった」
「では、いつものごとく…」
オリヴァンは自分の手で飯を食べない。酷いことにアネットの手で食べさせるようにしているのだ。だがこれは彼だけに限った話ではなく、ごくたまにだが彼のように、一人で食事を取れる年齢に十分すぎるほどなっているくせにメイドや執事に飯を食わせる者もいるのだ。
「まずい!にんじんが入っているじゃないか!」
にんじんを皿の上に吐き出し、オリヴァンは怒り出す。この日はタバサとはじめてあってからしばらくの間の中でやたら不機嫌だった。しかしにんじんが食えない。これをゼロが見ていたらルイズに一度言ったように『残してんじゃねえよ。いけないんだ〜』と子供臭い指摘を受けていたことだろう。
「す、すみません…でもにんじんは体に良いものですから」
「だ
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