Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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って引き離すのも酷だし、私の趣向には合わないわね。だとすると、やっぱりあの太っちょのお坊ちゃんには…」
「話がそれてる」
「あ、あら…そうだったわ」
タバサがキュルケに喝を入れ、思わず恋バナに没頭しかけるキュルケも我に返った。今はアネットの恋(?)を実らせることじゃなくて、オリヴァンに何か不審な点が無いかを探ることではないか。
「あなたはいつもどおり、メイドとして働いて。ただ、彼に何か違和感があったら私たちに言って」
「坊ちゃまの違和感を、ですか…?」
アネットは、納得仕切れずにいた。あのオリヴァンが暴力行為に及んだこと。それに伴い、彼の魔法の腕がどういうわけかトライアングルは愚か、スクウェアにまで上昇していることの異常性。二人から話を聞いて、確かに人間が一朝一夕で強くなったことに何かおかしいとは思っていたが、信じられない。自分にとってオリヴァンは恩人。信じなければならない対象。それを、まるで疑うような行為に及ぶことはやれといわれてやり切れるようなことではなかった。
あの後、一応いやなら断ってもいいとタバサから勧められたが、アネットは貴族からの頼みごとを断れるほど貴族に対して図太くは無かった。
いつもどおり、彼女はオリヴァンのために作った食事を持って彼の部屋に向かう。部屋は片付いていたが、オリヴァンがベッドで寝そべりながら本を読んでいることについては変わらなかった…はずだった。
「お坊ちゃま。アネットです」
ドアをノックするアネット。しかし、タバサたちをはじめてこの屋敷に迎え入れた時と同様、帰ってきたのは沈黙。
「お坊ちゃま…?」
もう一度ノックしようかと思ったが、タバサの言葉が蘇る。
――――何か違和感があったら私たちに言って
アネットは、正直今やろうとしている自身の行為に恐怖さえも覚えた。しかし、アネット自身も気にならないわけがなかった。オリヴァンがいじめっ子たちに対する暴力行為同然の報復。その際、ドットクラスだったはずのオリヴァンがわずかな期間で手に入れた、スクウェアクラスの力。ある意味ではルイズの虚無覚醒並みにありえない話なのだ。タバサたちから話を聞いただけだが、事実ここしばらくのオリヴァンは妙に以前と違うあたり、嫌にも信憑性が高いことを思い知らされる。
ダメだとは頭でわかっていても、何かに引き寄せられるかのごとく彼女は扉に近づくと、オリヴァンの声が聞こえてきた。
「おい!本当に僕は無敵の力を手に入れたのか!あの傭兵にコテンパンに負けてしまったじゃないか!おかげで恥を掻いたぞ!!」
(…?)
会話が筒抜けと言うことは、サイレントの魔法が掛けられていない。メイジとは聞かれたくない会話をする際は部屋にサイレントの魔法をかけて防音措置を採るのだが、わずか数日足らずでスクウェアクラスにまで上り詰めた
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