Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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になってしまう。だからこの如意棒、ファイヤースティックと己の肉体を駆使して戦うのだ。
キュルケもとりあえず安心したが、問題はオリヴァンだ。彼はグレン相手に々出るつもりだろうか。オリヴァンは余裕を崩していない。いくらグレンといえど、見た目は自分やサイトよりも年下にも見える少年だ。
「ふ、ふん。逃げるなら今のうちだぞ?アルベールも落ちたもんだね。取り巻きを連れたり、代理人を立ててまで僕に勝ちたがるとは」
「ぐ…!!」
「タバサとやら、お前たちの手を出さなくていい、こんな傭兵風情の平民、僕一人で十分だ」
見たところ、メイジではない。なら余裕だとオリヴァンは最初から勝った気でいた。
グレンはオリヴァンを見て、きっと顔をしかめた。臭う…。こいつは典型的な愚鈍な貴族よりもタチの悪いタイプだ。そんなにおいがする。高潔さと誇りを保ち、王族としての、一人の人間としての尊厳を保っていたウェールズとはまるで月とすっぽんの差を感じた。
「御託はいいからかかってきやがれ。まぁ…てめえこそ今から逃げ帰ってママのおっぱい吸ってその腹にたまりまくった脂肪をさらに溜め込んでいる方がいいんじゃねえの?」
グレンの挑発を聞いて、オリヴァンの頭の中で何かがブチン!!と何かが切れる音がした。
「き…キサマァ!!」
瞬間、オリヴァンは杖を振るう。タバサも使う氷の魔法、〈ウィンディ・アイシクル〉が飛んできた。これでハリネズミか蜂の巣にしてやる!そう思って放って見せたのだが…。
「……」
グレンはファイヤースティックを風車のように回し始めると、それによってあらぬ方角へ次々と跳ね返されていった。しかも、一切炎を発火させていない。
「そ、そんな馬鹿な!?」
オリヴァンは衝撃を受ける。なんでだ?メイジなのか?いや、あいつが詠唱をした形跡はなかった。しかし奴は間違いなく、トライアングルクラスの魔法をあっさりとかわした。
「あんだよ…もう終わりかぁ?」
呆れた様子でグレンはアメリカンジョークでも言うように両手の平を返してやれやれとぼやく。
「ふ、ふざけるな!!」
今度はキュルケも使う魔法、フレイムボールを放って攻撃するが、なんとグレンは、今度は棒を一切使わず、手で軽く振り払うことでフレイムボールをかき消してしまう。
「これで炎かよ?笑わせてんのか?」
自分は存在そのものが炎といえる。オリヴァンの放った魔法はグレンからすればあまりにぬるま湯程度のものでしかなかったようだ。
「なんだよ貴様…エルフか!?」
「エルフだぁ?何言ってんだ?それより…打ち止めか?」
「は…はは!いいぞ!!そのままやってしまえ!」
グレンが圧倒的優位に立ったのを見て、所詮他人の力を借りている身だと言うのに、アルベールは愚かにも自分の手柄のように勝ち誇っていた。
「ま、まだだ…今度はこの魔法で!!
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