故郷
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霊碑に眠ってる皆にマキナを会わせたかった。皆……きっとマキナが帰ってきた事を喜んでくれてる。私はそう思いたい……」
この街の子供唯一の生き残りであるシャロンは、生き残ったが故にマキナとは別の意味で過酷な日々を送ってきたのか。来る時に感じた彼女の孤独感は、友人を全て失った事で培ってしまったものに違いない。そして彼女にこんな悲しみを抱かせたのは……私だ。
主はやてや騎士達と共に償うと決めたはずなのに、こうしてまざまざと過去の過ちによって歪められた人生を目の当たりにすると、どうしても抑え様の無い罪悪感が湧き上がって来る。私は……シャロンやマキナ、この街の人達にどう償えばいいのだろうか……?
「……そ、そういえば昔のマキナってどんな子だったのか、シャロンはどれぐらい覚えてるの?」
気まずくなった空気を変えようと、ユーノが他の話題を提供した。彼の意図を察したシャロンは空気を読んで、少し天を仰いで思い出しながら話してくれた。
「昔のマキナは、普通の人から見ればちょっと変わった子だったかもしれない。ある日、皆で絵を描いた事があって、子供だから下手なのは当然だけど子供なりに風景画とか人物画とかでそれぞれ味のある物が出来たんだ。ちなみに私は高台からアクーナの街を描いたよ」
「それは……想像するだけで微笑ましい光景だね」
「それでマキナが描いた絵は、明らかに独特な物だった。もうあまりに独特過ぎて言葉じゃ説明しにくいけど、実物があるから見てみる?」
『え、実物が残っているの?』
「大破壊の後に残骸を片付けてたら何枚か残ってたから、一応まとめておいたんだ」
そう言ってシャロンは立ち上がると、戸棚から一つのケースを持ってきた。蓋を開けると角の所が少し破れたり焼け焦げたり、はたまたテープで繋ぎ合わせたのもあるが、子供らしい絵が描かれた紙が何枚も入っていた。大事な思い出の証であるそれを見て悲しみを誘われるものの、その中からシャロンは一枚の絵を取り出して私達に見える様に掲げる。私達は興味をそそられるまま、それを目の当たりにするのだが……見た瞬間、言葉に詰まった。
三角形や四角形を組み合わせたような、凄まじく理解力が必要な絵だった。これ、子供が描ける絵じゃないと思うよ……。
「こ、これは……確かキュビズムという画法だったか? 予想のはるか斜め上を行かれたぞ、おい……」
「独特過ぎて僕には何が描かれてるのか、ちょっとわからないや……」
「多分……人じゃないかな? ベルカにもこんな絵が存在していた記憶があるから、何となくしかわからないけど」
「私も実はこれが何の絵なのかわからないんだ。一応聞いてみた事はあるんだけど、内緒って言われてそれっきりだから」
『あ〜何となく思い出したよ。これ絵を描いてるシャロンの
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