故郷
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だからね? 出来るだけ静かにするんだよ?」
遺跡探索の経験が多いユーノの指摘に、理解を示した私達は頷く。ぽうっと明かりが灯る中、ユーノは言葉を続ける。
「この明かりは遺跡の機構が作動した影響かもね。それにしても古代から避難所として使われた性質から、ここは古代人にとって元からそういう施設として作られたのかもしれない。……いや、むしろ何か大事な物を隠すためにあえてこういう構造にしたのか? う〜ん、誘い込むにしては光量が強い。これじゃあ部屋の中は十分見渡せ……いや、あえてそうする事で油断を誘ってるのかな? ところでこの様式、これは古代ベルカ関係の遺跡でも見られた造形だ。つまりここは古代ベルカの人間の手が加わっている訳だけど、そもそも元管理外世界にベルカの手が入っている事自体が驚きだ。ハッ……もしやベルカはミッドが把握していない他の世界にも介入していたのか!? という事は管理外世界に存在している他の遺跡にも、実はベルカの技術が使われている可能性だってある! もしそうならあまり解析されていない古代ベルカの歴史も紐解ける確率が一気に高まる! もしかしたら僕達の常識を覆す発見だってあるかもしれない! いいねいいねぇ! 最高だねぇ! 僕の知識欲や探求心がそそられる!」
『………』
「あれ、皆なんで無言なんだい? やれやれ、遺跡というのはこうやって意見を述べ合う事で、未知のトラップに対する警戒も出来るんだよ? それに終始無言で進んだら流石に集中力も持続しにくくなるし、僕達の信頼関係や連携も上手く構築できなかったりするよ。だからこうやって会話をしてコミュニケーションを計るのはコミュニティでやっていく上で必要な事だし、何より互いの事も知る良い機会なんだ。それに遺跡の調査というのはすぐに正解が出ないからこそ、皆で答えを探していくのが面白いのであって、一人で調査結果を結論付けたら信憑性が薄くなるんだ。そりゃそうさ、一人で調べて一人で結果を出しても、それって正しいの? って思われて当然だもの。まぁ全人類の浪漫とも言って良い遺跡にこうして入った以上、皆それぞれ何か考察しているに違いないとは思うけど、あまり内側に秘めないでもっとぶつけ合うべきだよ。ほらほら、どんどん意見を出してみてよ?」
ぶつけ合うべき? 君がそう言うなら言わせてもらうよ、ユーノ。
「さっき静かにしろと言ったのはおまえだろう!」
『言いだしっぺが自分から注意した事をあまりに清々しい速さでぶっちぎらないでよ、全く!』
「やれやれ、君は自分の言った言葉をすぐ忘れるのかい? いくら私でも流石にどうかと思うよ、それは」
「なんか遺跡バカが来てしまったみたいだね。こんな人と一緒で私、ちゃんと外に帰れるの……?」
やはりというか当然というか、全員ユーノの暴走に対して憤りを抱い
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