故郷
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界だろうと好き放題していい訳じゃない。そもそもここは闇の書の一件が起きるまでは管理外世界だったのに、今の植民地扱いには遺憾の意を覚える。
こうなった原因である私が言えた事でもないが……。
「私達の暮らしさえ壊さなければ、管理局がどこで何をしてようとどうでも良いの。それより日も暮れたから、夕飯の支度をするね」
そう言って話を切ったシャロンは台所に行き、既にある程度作って用意していた小鉢を手早く並べてから、魚介類のダシや身がふんだんに使われた鍋料理を持ってきてくれた。私と兄様、マキナが調査団に加わった事はシャロンも最初は知らなかったはずなのに、十分な量を用意してある鍋料理を見て、私は主はやてが口を酸っぱくして、言っておられた事を思い出した。
“料理は常に多く作るべし”と。急な来客があるかもしれないし、多く求められるかもしれない。そんな時にもう無いでは、もてなしの心が足りないとか何とか……。初めて聞いた時は話半分だったのだが、今こうしてもてなされる側になってみると、シャロンのもてなしの心がとても嬉しく感じられた。
「……そういえばシャロン、おまえはマキナを初めての友達と言ったが、そもそも二人は最初どういう出会いをしたのだ?」
『それは私も知りたい。色々あって私は記憶が失われてるから、聞いたら思い出すきっかけにもなるかもしれない』
「期待してる所すまないけど、私達の出会いは特別大した事は無い、ごくありふれたものだよ。昔からアクーナは小さい街だったから、近くの遊び場で一緒に何かしている内に同じ街に住む者同士で自然と仲良くなっていた。当時、他にもいた同年代の皆もそんな感じで仲を深めていってね……ここは街全体が家族のようなものなんだ」
「そうだったんだ……僕もスクライアの集落を思い出すなぁ。あそこも皆が力を合わせて暮らしてるから、家族みたいな感じなんだよね。あ、じゃあ明日、シャロンのようなマキナの知り合いに挨拶しに行かない? 遺跡探索は別に急ぎじゃないんだから、再会を優先した方が良いと思うし」
「ううん、その必要は無い。再会はもう済んでるから……」
ユーノの気遣いに首を振り、シャロンは沈痛な表情で俯いた。この後の内容に、私はもう大体気付いた。それに勘の鋭い兄様はとっくに察しているだろう。いくら時が経とうと、罪は決して消えないという事を。
「あの大破壊で、私とマキナ以外の子供は全員死んでしまった。だから継ぐ者もいなくて、アクーナは私の代を最後にいずれ滅ぶ運命なんだ」
「全員……!? そんな……なんといえばいいか……わ、私は……」
「謝らないで。今更あなた一人に謝られた所で、過去は何も変わらないし、変えられない。もう変えられないんだ……」
『シャロン………』
「そんな訳だから真っ先に、あの慰
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