故郷
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〜〜Side of ネロ〜〜
墓場での出来事の後、私達はシャロンの自宅へ招かれた。彼女の家はレンガで作られた西洋風の一軒家で、中はリビングや応接間のある一階と、寝室や倉庫がある地下の二層になっていた。
暖炉の前にしゃがんだシャロンは、近くの桶に入れてあった少し黒ずんだ結晶を一つ掴むと、ぽいっと暖炉の中に放り込んだ。少しすると暖炉から小さな炎が起こり、家の中の空気がじんわりと温かくなってくる。今の時期は初冬だから外の寒さで身体が冷えていて、この温かさがとても気持ち良い。
「アクーナでは古くなったり不純物の混じった魔導結晶を日常生活にこうやって使っている。新鮮で純度の高い結晶の方が内包してる力も多いけど、そっちは次元世界の人達がいっぱい持って行っちゃうから貴重なの」
「良質な結晶はほとんどクリアカンが独占しているのか……。それでアクーナは節約で劣化した物を使っていると。それって不平等じゃないか?」
「そうかもしれない。だけど彼らの基準を超えない結晶は捨てられるから、それを私達は有効活用しているに過ぎない。量も結構あるから困窮はしていないし、暮らすだけなら十分手に入る。儲けたい人にとっては別だけど、アクーナの民にそういう人はいないから」
「だが元々魔導結晶やレアメタルはこの世界の物だろう? 何の配当もしないで勝手に持っていかれて、お前達はそれでいいのか?」
「私達が持っててもあまり使い道がないもの。どうせなら有効に使ってくれた方が良いと思う」
シャロンの言い分を聞いていると、アクーナの民はすべからく欲が薄いように感じる。それに甘んじて、この世界の物資を何の遠慮もなく持っていく管理局。彼らとの関わりが強い私やユーノは、彼女達に申し訳ない気持ちを抱いてしまった。兄様は兄様で難しげな表情で何か考えておられるようだが、私には察する事が出来なかった。
『魔導結晶って、次元世界だとどんな風に使われてるんだっけ?』
「来る途中でも説明したと思うけど、デバイスのコアや魔力を増加して操作する部品に使われてるよ。あ、そういえばもう一つ、次元航行艦の魔導炉の燃料にもなってるんだとか」
「魔導結晶のエネルギー変換効率は他の物質のはるか上を行くんだ。反物質程ではないけど、それに近いぐらい……。地球の発電効率で表すならば、原子力発電所の倍ぐらいと言えばわかりやすいと思う」
「ふむ、ほぼノーリスクかつ少量で原子力以上のエネルギーが供給されるとは……大量消費文明の人間から見れば喉から手が出る程欲しくて仕方ないだろう。この話で分かる通り、多くの魔導師や管理局にとって必要不可欠な物質らしいな」
『何だか……次元世界の人達ばかり得してる気がする』
このマキナの一言は同意できる。シャロン達現地人が何も言わないからって、管理世
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