天と人を繋ぐモノは
[8/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あった。
「俺なら……人を越えた何かに左右される人生ってのは嫌だよ。誰かに天が味方してるなんて御免だ。運命なんてもんがあるってんなら、俺はそれをぶち壊してやりたくなっちまう」
きっと何処かでこの時すら見ているのではなかろうか……この世界に送り出した腹黒幼女を思い出して、心底うんざりした気分になった。
与えられた使命があるから戦っている。この世界を壊してしまうのが嫌だから戦っている。自分の為が他人の為。自分の幸せ程度よりも、命使い果たしても他の者が幸せになって欲しいから。
ただ……きっとあの腹黒は天ではない。この世界を変えろという以上、世界に抗えというからには……自分は世界の敵なのだろう……そう、秋斗は思う。
目の前に突き付けられた壊される世界を、自分の命を賭ければで救えるのなら安いモノだ。一度死んだ彼は、きっとこの世界に来た時から何処か壊れていた。
「そなたは……天を殺すと言うのか」
当然の疑問。話の流れはそちらに傾いている。彼の内心など誰も知らなくていい。
――違うさ。“俺がぶち壊したい天”は……“なるかもしれない未来”と、“お前達の頭ん中にある曇り空”だ。
表には決して出さず、劉協の頭にぽんと手を置く。
さらさらと白金の髪を撫で梳かして、そのくりくりとした瞳をじっと見据え、くつくつと喉を鳴らした。
「人の想いを穢してしまうなら、な。でもお前さんは殺さない。殺すつもりなんか無いし、人の心を持って欲しい。
背反し矛盾した人と天を同時に持ってしまえば、きっと身の凍るような辛い時間が続くことだろう。それでもお前さんは人の心が分かる天になるのがいい。
何よりも……お前さんは他の皆と繋がる方法、もう持ってるんだぜ?」
また何かおかしなことを言いだした、と小さくため息を零す華琳。月は興味があるようでじっと秋斗を見つめた。
劉協は……首を少し傾げ、自分の掌をじっと見つめる。
「協、お前は蒼天だ。鬱陶しい雲なんざ俺達が払えばいい。
世界を照らしたいと望む日輪にも雲は必要ない。夜の暗闇を照らす真月にも雲なんざいらねぇ。
この空みたいな蒼空を世界に広げよう」
見上げた空は快晴。何処までも果てしなく蒼が広がっていた。
答えを言わない彼はいつも通り。
考えることで人は成長するモノだから、と。
「……余が持っている皆と繋がる方法とは……なんじゃ?」
「クク、簡単には教えてやんない。自分で探し、自分で気付け」
「……それには同意だけれど……」
今回は華琳も分からなかった。月も首を捻って眉を寄せる。
天が人と繋がる方法など、きっと何処を探しても無いはずなのだ。
「乱世の果てで教えてやる。華琳にも、月にもな」
――俺が黒麒麟と溶け合うこと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ