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乱世の確率事象改変
天と人を繋ぐモノは
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ざ劉協のあだ名を決めるということは、彼女の正体がバレないようにするということ。
 この時のみだとさっき言っていたはず……が、華琳がそれだけを狙いにするはずなどない。
 ならばどういうことか……月も思い付けたというのなら……。

「……マジで?」
「あら、マジよ?」
「ふふっ、マジ、ですよ?」

 秋斗の言葉を真似て楽しげに笑う二人の王は、首を傾げる劉協に視線を向ける。

「謁見の話の続きになるけれど、協はまだまだ学ばないとダメなことが多いわ。人の想いは触れないと分からない。頂点に位置するというのなら、末端の生活を知っておくことも大切でしょう?」
「だから、私はりゅ……協ちゃんに侍女服を着せてみたんです。これなら簡単には分かりませんから。特にこの街では」
「……どういうことじゃ? お主らだけで話を進めるでないぞ」

 むっと少女らしい仕草で唇を尖らせた劉協。自分でも驚く。まさかそんな表情が自然に出るとは思ってもみなかった。
 まるであの時の、月が救いに来てくれた時のように、いや……姉がまだ生きていた時のようだった。

 秋斗に目くばせをして、華琳が答えを言ってみろと示した。

「勉強……ってか実地学習だな。区画警備隊も随分と安定の水準を保ってるし暗殺とかに対抗出来る将も手に入った。ゆえゆえが侍女姿で俺と回っていたから怪しまれることもなくて、何よりこの街には娘娘がある。侍女姿しててもあそこの給仕だと思われるのがほとんどだ……だから、協には街に出て人に触れて来て貰うってこった」
「え……ほ、本当か?」

 目を真ん丸にした少女は、年相応な驚きの声を漏らした。

「ええ、協には街に出て貰う、それは決めていたことよ。大陸に生きる一人の人間の目線で人々を見て、それを帝としての力にして貰いたい。その為に月と一緒に回ればいい」
「ほ、ホントにホントじゃな!? 余は……街に出て好きなことをしてもよいのじゃな!?」
「うん。でもあんまり危ないことはダメだよ? 私と一緒にお買いものをして、子供と遊んで、本屋へ行って服屋へ行って、イロイロなことをしてみよう?」
「うむ、うむっ! ……そうかぁ、イロイロしてよいのか。何をしようかのう」

 月の微笑みが決めてであった。
 勉強の一環であったとしても、ずっと宮中だけで過ごしていた自分が街に出る。それも一人の少女としてその時間は過ごしても良いのだ。まだ年端もいかない少女の心は、やはり自由を求めていた。

「護衛は当然明だよな?」
「当然。あの子だったら余程のことがあっても大丈夫でしょう。街には警備隊も居るし、民達への警笛の普及も行き届いているのだから余計にね」
「まあ、な。けど明だと少しばかり情操的な面で不安はあるが」
「明が挑発する時以外で調子に乗るのは桂花とあなたに
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