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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico23其は天に座す竜を守護せし鉄壁の暴風〜Chevaliel〜
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まらん能力ばかりだったな。まともな物は甲冑くらいだ」
リンドヴルム兵の装備を確認し終えたルシル。シグナムが言うようにコイツらの武装は大したもんじゃなかった。そんなロストロギアのレプリカを封印したけど、ルシルの表情は晴れない。どっかソワソワしてて、心ここにあらずって感じだ。
「どうかしたんか? さっきから変に周囲を気にしてんだろ。そこまでお前が周りを気にするなんて珍しいっつうかさ」
「・・・ソイツの言っていた、俺たちがツイていない、っていうのが気になって・・・」
「苦し紛れに負け惜しみではないのか?」
「あたしもシグナムに同意見。最後は狂っちまったし、単純な負け犬の遠吠えだって」
あたしとシグナムがそう言うけど、ルシルの表情も雰囲気も変わらずに暗い。けど、次にルシルが発した言葉に、あたしらもまたそうなっちまうことになった。
「リンドヴルムには・・・エグリゴリが居るんだ」
「「「っ!」」」
そうだった。リンドヴルムにはシュヴァリエルっつう“エグリゴリ”らしき奴が居るんだった。第14管理世界ウスティオであたしら局員を襲った暴風。アレはシュヴァリエルが放った攻撃だったって、あとでルシルに聞いた。
――ただの気流操作で起こった暴風だったから死傷者は出なかった。もしアレに攻撃魔力が付加されていたら・・・全員が削岩機にかけられたように粉々にされているところだ――
想像しちまった。生きたまま粉砕されるなんてとんでもねぇよ。あたしら守護騎士が苦戦したうえ殺されちまったバンへルド。ソイツよりずっと強ぇ“エグリゴリ”の危険存在が今、ひょっとするとこの世界に来ちまうかもしんねぇ。ルシルはそれが気掛かりなんだ。
「ルシリオン、お前の想像が当たるとしたら、我々はどうなる?」
「シュヴァリエルの行動目的で変わってくるとは思う。奴がリンドヴルムの1人として来たのなら、このコイツらや武装は大人しく返そう。少年についても最悪、見捨てるしかない」
局員として、つうか人としてもアウトな選択だよな。けど、下手に刃向かってはやてやリイン、なのは達の誰かから死人が出るのだけはなんとしても避けてぇ。あたしは「もし、エグリゴリとして来たら?」訊く。たぶん答えは聴くまでもない。コイツはきっと・・・
「みんなは何も考えず、ひたすら逃げることにだけ集中してくれ。俺は独り残って、シュヴァリエルを・・・迎え撃つ!」
ルシルは勇ましくそう言ったけど、目には焦りの色があるし、表情は青いし硬い。ダメだ。今、ルシルとシュヴァリエルを戦わせんのは。でも、あたしもここで負けて死んだらそれまでだ。“夜天の書”はもう無いから、転生機能は働かない。だからってルシル独り残して逃げろって言うのかよ。
「私も逃走の時間稼ぎをしよう」
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