暁 〜小説投稿サイト〜
desert cats' counter
プロローグ
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[9] 最初
きっとお別れなんだ。これからどうすればいいのだろう。

星も月も無い空はただ雲で埋め尽くされていた。

やっと明かりが見えたと思えば、街灯だった。僕が捨てられたあの場所に連れられていたことに今気づいた。

「すまんな」

第一声、予想もしなかった言葉が飛んできた。

「お前に魚を捕まえさせられなかった」

「そんな、いいですよ、下手くそな僕が悪いんです」

「しかし、約束を守れなかったのは俺だ」

彼にあのときのような威圧感がなかった。僕が慣れてしまっただけかもしれない。

「お前はこれからどうするつもりだ?」

「え?」

わかっているのに、聞き返してしまう。

「俺たちについていくのか、一人で生きていくのか。」

わからなかった。そもそも、なぜ一緒にいるのかすらわからなくなった。

その時、意外なものが目に映った。


ルナミア。


唖然とした。美しいモノトーンのグラデーションは暗闇ではあまり見えなかったが、僕には確かにいることが分かった。

僕の反応を見て、グリードも振り返る。
そしてなぜか、ルナミアへ近づこうとする。

理由はわからない。グリードを止める理由もわからない。ただ、付いていく。

ルナミアがこちらに気付いた。グリードにおびえているようだった。僕の顔は見えているはずなのに、安心した顔は見せてくれなかった。

グリードが挨拶する。

「なんで、そんなのと一緒に…」

そう聞こえた。

逃げていくルナミアを追いかけることはできなかった。

「……これだから飼い猫は嫌いだ」

「グリードがいるから……」

「ん?」

「グリードがいるから逃げ出したんだろう!そんな、そんな怖い顔してるから!」

「お前……」

なぜ、いま、怒っているのか。

「僕一人なら、笑いかけてくれるのに!あんな辛そうな顔、初めて見たよ!」

八つ当たりだった。嫌われたと思って、全部グリードのせいにしたかった。

何がしたいのかわからなかった。

でも、わからないなりにしたいことはある。

ルナミアと一緒にいたい。

その欲望に忠実になった。

「そうか」

「もうどっかいけよ。グリードに頼らなくたって……」

「なぜ、今すぐルナミアを追いかけない」

「……早く行けよ!」

「わかった」

グリードの威圧感は以前のものに戻っていた。
[9] 最初


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