第5話 転生・岡田以蔵
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武市と女は首を晒されている4人の男のうちの一人の前に立っていた。
季節は初夏あったためが腐敗はそれほどでもなかったが、鳥にでも食われたのか損傷は激しかった。が、その男の特徴ははっきりしていたためにすぐにわかっていた。
「以蔵、お前のために勤王党は壊滅してしまった」
武市は睨むようにその男の首を見据えた。
「が、お前は私のためによく働いてくれた。今でも私はお前を弟だと思っている」
武市はその男の首を撫でた。
「そして、お前の力がまた私には必要になったのだ」
武市は女を裸にさせその首の前へ立たせた。
女の顔からは喜怒哀楽の表情が消え、まるで蝋でできた人形のような感じさえとれる。
「さあ、蘇るのだ、以蔵。エロイムエッサイム。我は求め訴えたり」
武市は自分が唱える呪文のような言葉に不思議な感じがした。
何故なら、そんな呪文など彼自身知らないのだ。が、自分の口からすらすらと出てくるではないか。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム。。。。。。」
おそらく別の人格がそれを言わせているのだろうが、武市はそんなことはどうでもよかった。
事実、他の誰かが見ていたのなら武市の妻・富子がみた宣教師の恰好をした者に見えただろう。が、武市は一心不乱に呪文を唱えた。
すると、首の前に立っていた女の全身ががたがたと震え始めた。そして、徐々に空に浮き始めた。
「蘇るのだ。我が秘術・魔界転生によって。いでよ、岡田以蔵ぉーーーーーーーー!!」
武市は気合を込めると女はこの世のものとは思えないほどの絶叫を上げた。
と同時に、その首が宙に浮き、女の腹の中へと消えていった。
「ぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎ。。。。。。。。。。。。。」
女の顔が苦痛に歪み始める。体の震えもますます大きくなっていく。
目は白目を剥き、口からはだらだらと涎を垂らし乳房を濡らしていった。
「ぎゃぁーーーーーーーーーーー」
女は再度絶叫をあげたと思うと木端微塵に消し飛んでいった。
実はこの女こそ以蔵が絶命する直前にたっぷりと楽しんだ女だった。
そして、消し飛んだ女の姿があった場所には一人の男が立っていた。
「フフフフフ、アッ、アハハハハハハハハハハ」
その男の姿をみて武市は笑い狂った。
「いい格好だな、以蔵。アハハハハハハハハハハ」
男は全裸ではあったが、上半身すべてに抜身の刀が鎧のように張り付いていた。
「お前に相応しい姿よ」
武市はいつもの冷静な顔に戻り、その男に言った。
「さて、行くぞ。我らの目的のために。ついてこい、以蔵」
武市が歩き出すとその男はゆっくりとした歩調で後ろについて歩きだした。
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