短編100「月までの値段」
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後
宇宙協会の裏手からバイクを出す。走り出そうとした瞬間!
キキー!!
「バカやろ!!危ないだろ」
俺は文句を言った。
道端から飛び出して来た少年。8歳くらいか?
「あ〜あ、チョウに逃げられたあ!」
その時は、手には虫捕り網を持っていた。それから……
「またお前か」
少年とは、それからの付き合いだった。宇宙協会の裏手で、サボっていると少年に良く会った。いつものごとくサボっていると……
「これで月に行ける?」
少年がポケットから硬貨をだした。出した硬貨は、全部で157円しかなかった。
「それじゃあ、いくらなんでも足りなすぎだ!」
少年はポケットに硬貨をしまった。
「月に行ってどうする?」
「お父さんに会う!」
俺はこの手の話が嫌いだった。面倒臭いし、自分の事でも大変なのに!と思うからだ。
「そうかあ」
俺は適当に相槌を打った。
「ねえ、お兄さんにとって宇宙ってなに?」
『俺にとっての宇宙かあ……』
宇宙協会は民間組織の会社だった。正式名称は「宇宙旅客協会株式会社コスモツアーズ」と言った。
『宇宙に行く意味……』
今の時代、木星まで簡単にいけるようになった。宇宙協会は、単なる旅行会社の一つだった。
「だってお兄さんは、宇宙飛行士なんでしょ?」
「昔の動画の見すぎだ」
そして俺は、ただの旅行ガイド兼運転手にしか過ぎない。大型ポーター(星間宇宙船)に客を乗せ、アチコチの惑星を見せて回るのが俺の仕事だ。
でも、そんなある日……
「リストラかよ〜!!」
突然の解雇だった。
『それでも退職金が出ただけましか』
と、俺は思った。
宇宙協会の裏手からバイクを出す。
キキー!!
「また、お前か!?」
俺は文句を言った。
道端から飛び出して来た少年は……
ヒックヒック
と、大粒の涙を出して泣いていた。
「アイス食えよ!」
「いいの?」
「俺のおごりだ」
俺は少年をバイクに乗せ、近くの海に来ていた。
「ママが居なくなった」
「そうか」
「僕、どうしよう……」
俺は、その足で警察に少年を連れて行った。
「では、こちらで対応します」
警官は事務的に言った。
『ま、これでもかなり助けたほうだよな』
俺は警察を後にした。
『ねえ、お兄さんにとって宇宙ってなに?』
俺にとって宇宙は、ただの職場だ。
『だってお兄さんは、宇宙飛行士なんでしょ?』
昔の動画……
その昔、親父と映画館で見た『アストロノーツ』の映画を思い出した。宇宙飛行士たちは幾多の困難
[8]前話 前書き [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ