続・ タルカスと戦ってるジョナサンの視界はきっとこんな感じ
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観客の歓声も、司会や解説の声も、全部遠くに感じる。
それほどの集中、きっともうすぐすれば声は完全に聞こえなくなる。
それをしなければ、目の前の男には勝てない。
『暴獣』タルタス・フォード
51歳という年齢にして、Sランクの冒険者。俺より遥かに高い身長、膨れ上がった筋肉、そして、距離を置いて立っている筈の今でさえ感じる圧倒されるような闘気。
試合前、控え室で会ったオッサンに声をかけた。
――試合が終わるまでは、懐かしむのはヤメにしよう
それが、オッサンから発せられた最初の言葉で、それから先は無かった。
オッサンは、マジに俺を倒すつもりだ。旧友ではなく、仲間でもなく、過去に俺に負けた1人の戦士として俺を倒すつもりだ。
なら、俺もそれに応える。それだけだ。
今、ゴングが鳴った。
(今持ってる武器は巨大なバスターソードか。だが、オッサン限って持ってる武器はアテにならんな。)
ゴングは鳴った。
だが、オッサン迂闊に近づくのはヤバい。無策で挑むのは自殺行為だ。
オッサンの1年半前までの二つ名は『千刃覇王』、ありとあらゆる武器を収納し、自在に取り出す「武器庫空間」というオリジナルスキルの保持者。この距離でさえ、気をつけなければ分銅のついたチェーンが飛んでくるかもしれん。
(ここは、まず最初にオッサンに攻撃させて様子を伺うか・・・)
「どうした? 攻めて来ねぇのか?」
まるで俺の思考を読んでるかのように、俺が様子見しようと思ったタイミングで入るオッサンの声。
「まぁ、そうだな。先に来てみろよ。」
「じゃあまぁ・・・・」
――遠慮なく。
その言葉は俺の眼前で聞こえ、俺が今までいた場所には巨大なメイスが沈んでいた。
「・・・・凄い速度だな。」
「ま、俺も伊達に1年半努力した訳じゃねぇってことよ。」
そう言って笑うオッサンの今の動き、俺は捉えられなかった。
俺が避けられたのは、勘が何かヤバいと全力で訴えかけてきたからだ。
(マズイな・・・、目で追えない速度か。オッサンの怪力にそれまで加わったら直接のぶつかり合いじゃあ勝てん・・・・。)
「と、なると・・・。」
「何だァ? 考え事か!!?」
叫び声と共に振り抜かれたバスターソードを勘で何とか回避し、巻き上がった砂埃を掴む。そのまま波紋を流して・・・。
「行け、愚者!!」
その言葉と共に、犬の姿になった砂がオッサンにまとわりつく。オッサンはバスターソードで吹き飛ばそうとするが、砂は武器に絡みつくだけで退かない。
「おぉ、懐かしいワンコだな。そう言えば物理は効かんのだったか?」
「その通りだ、オッサンが相手してんのは変幻自在の砂の愚者だぜ!!」
オッサンに返答しながら距離を取
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