第十八話
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がいを感じるような物をこなしてみたいと思うものだ。
それに冒険者依頼は何も報酬だけ、というわけではなく、各々の冒険者の活動履歴にどれだけ冒険者依頼をこなしたかということが書き込まれる。これによってギルド側が冒険者個人に対して信用を置いたり、また商人たちが冒険者の評判を聞きつけて指名の冒険者依頼を発注することだってある。つまり、少し遠回りになるけれど名声を手に入れられるチャンスでもある。
まだ低難易度の冒険者依頼しか受けれなくとも、それを地道に重ねていけばギルド側から特別措置である程度融通してもらえる。私の狙いは主にこれである。
まあ、手っ取り早い話はランクアップなんだけどね。こればかりは如何ともし難い。
手の羊皮紙にしたためられている依頼内容を頭に入力しつつ効率的な道順を練り上げる。あとは街に寄って21階層より下へ挑戦する計画を立てる。大英雄を超えるためには一分一秒も無駄に出来ない。焦るわけじゃないけど、日に日に到達階層を深めていきたい。
気持ち新たにダンジョンに足を踏み込み、粗方の素材がバックパックを膨らませた頃である。
「ベル君?」
「へっ? レ、レイナさんっ!?」
私の中ですっかりアルミラージと同一となってしまっているベルを見つけた。先人の冒険者たちが気が遠くなるほど長い年月を掛けて道を整備しているとはいえ、光源の乏しい地下迷宮は地上と比べて薄暗い。そんな中に白光と見まごう白髪をぴょんぴょん跳ねさせて走れば嫌でも目立つ。
いつも通り話しかけたつもりだったけど、ベルは後ろから突然声を掛けられたと言わんばかりに飛び退きつつ私の名前を呼ぶ。
むぅ、ベルは私のことを何だと思っているんだろうか……。
大概人のことを言えないことを彼に抱いている私は自分を棚に上げて思いつつ、妙に高揚した歪な笑顔を浮かべるベルの姿を認める。
冒険者になって半年が過ぎたと言っていた彼の装備はすでにしっかりした装備に変わっており、ところどころ返り血が付いているものの、金属光沢が失われていないそれを見れば彼の腕前が上がっていることが良く解る。
私ほどの頻度ではないけど、ベルも結構ダンジョンに潜っている。その成果が実りつつあるのだろう。神聖文字で《ヘスティアナイフ》と刻まれている黒いナイフを握るベルは、いつぞやの無謀な挑戦をしたときとは比べ物にならないくらい逞しくなったように感じる。
「レイナさん、いつも通りですか?」
「はい。あと少しで冒険者依頼をクリアできるところです」
ひらりと羊皮紙を見せるとベルは「お〜」と少し大げさな反応を返す。実は私が冒険者依頼を受けている
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