第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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だから背にチクチクする物騒なものを押し当てるのやめようか。一之江さん。
やっぱり一之江に胸の話題は鬼門のようだ。
「さて、ハゲは後で殺すとして。
Zカップを持つものは凄いことになります」
「凄いこと?」
「はい、それはもう、ボバーン、と凄いものに」
両手を広げてその大変さを無表情のまま、アピールする一之江。
言われた音央は顔をしかめている。
「音央ちゃんは……その……『ロア』だからなんです」
鳴央ちゃんが言い辛そうに言った。
長年『神隠し』としてロアの世界に身を置いていたせいか、『ロア』である音央よりも鳴央ちゃんの方がこういう事には詳しかったする。
「……そうなのね」
今の音央は元々存在しない人間だ。『妖精の神隠し』に遭った本物の『音央(今は鳴央と名乗っている)』と入れ替わりで生み出された『妖精』だからだ。
今でこそ別々の人間として存在しているが、それはキリカの魔術を使ったからであって。
俺達ハーフロアとは違い純粋な『ロア』なんだ。
だけど、元々一人の存在だけあって音央と鳴央。
その内面は似ているところが多い。
「純粋な『ロア』は人の噂として認識されてしまうと、その存在になってしまうのです」
そう言い放ち一之江は鋭い視線を音央に向ける。
彼女にしてみると、仲良くはしているが音央は『ロア』だ。
心を許せる存在ではない、と思っているのかもしれない。
「なるほど、ね」
多少青ざめながらも、音央は気丈一之江の視線を受け止めた。
「ですから、貴女が『悪の妖精・神隠しボインクィーン』とか呼ばれるようになったら、貴女はそういう恥ずかしい存在になってしまうのです」
「え、何それ恥ずかしい??」
何だよ神隠しボインクィーンって。
神隠しがボインでクィーンなんだろうが。
やたら恥ずかしい存在だな。
そんな事を思っていると、音央の隣にいる鳴央ちゃんまで便乗して深刻そうな顔で語り出した。
「悪の妖精神隠しボインクィーンは、妖精と人間を入れ替えて、人間界の全ての人々を妖精にしようと画策する恐怖の女王なんです……」
「え、鳴央?? あんたまで何言ってるの??」
「その悩殺バディから繰り出される、必殺『ボインバスター』により、数多くの勇者たちが殺されたのです……」
「やめて一之江さん! 必殺技が嫌すぎるんだけどっ!」
「俺も『ボインバスター』には勝てないな……」
人間辞めましたランキングアジア71位に格付けされていた俺でも、『ボインバスター』には勝てる気がしないな。
「あんたも乗るな??」
と、そんな事を考えていた俺の頭に音央のチョップが炸裂した。
「何で俺だけ??」
「あん
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