第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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高まっていた血流をなんとか抑えていた俺だが、彼女が胸を隠す仕草をしたことによりついに、俺の対ヒステリア堤防は決壊した。
思わず手を合わせる仕草をした俺に、鳴央ちゃんは困ったような表情をしながらもツッコミを入れてくれた。
うん、可愛いツッコミは華があっていいよね。
なんて馬鹿な事を考えていると。
「拝まれましてもっ」
グサッ。
「ぎゃあ??」
何気なく俺の背後に回った一之江が、俺の背中に何かを突き刺した。
「い、痛い?? 何を刺したんだ??」
「別に、何も」
ほら、と両手を開いて見せる一之江。
その手には確かに何もなかった。
一瞬で制服の中にしまったにしては、今の衝撃は大きかったが……っというか、俺は一之江の胸を拝んだりしていないんだが。
「だ、大丈夫ですか?」
心配してくれるのは鳴央ちゃんだけだ。
「あ、ああ、うん、大丈夫だよ」
「いつものことみたいよ」
「そうなんですか?」
音央の「いつものこと」というフォローも嬉しくないが、まあ中学時代からの付き合いだし、これくらいの痛さなら前世でも今世でも日常茶飯事だから、まあいいや。
「で、胸の話ですが」
「続くのかよ」
一之江が語り始めたので、俺は思わずツッコミを入れてしまった。
「せっかく、音央さんも鳴央さんも二人ともいますしね」
「うん? ……そっち系の話?」
一之江のその言葉に音央の顔つきも真面目なものになった。音央の隣に立つ鳴央ちゃんも姿勢を正して聞いている。
「気をつけないといけないのは、Fカップの噂話をされているのが、鳴央さんではなく、ここにいる音央さんだった場合です」
「あたし? まあ、それくらいよくされてるけど……」
よくされてるのか。
まあ、噂の中心人物になりやすいのは確かだな。目立つし、可愛いし、スタイルもいいし、雑誌のモデルもやってるし、生徒会副会長だし、と話題のネタは尽きないからな。
「例えば音央さんの胸が『Zカップだぜヒャッハー』とか広がったとします。世間的にもそれが認知されてしまうとしましょう」
「Zって。しかもヒャッハーって」
その表現はさすがにどうかと思うよ?
「それが世界に認められると、音央さんの胸はZカップに変貌してしまいます」
「「うっそ」」
驚きのあまり、俺と音央の声が重なってしまった。
「Zってどんなだよ」
メーヤや詩穂先輩より柔らかい胸というわけだよな。
……戦艦で例えるなら航空母艦とか、宇宙戦艦並みの大きさだよな?
ありえるのか、そんな胸を持つことが。
だとしたら一之江も噂されればゴムボ「ツーアウトです」……女性は胸じゃないよな!
うん、女性は胸じゃない。
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