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101番目の舶ィ語
第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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そしてなんとなく『噂のシステム』みたいなものも解ったような気がした。

「あ……モンジさんっ。おはようございます」

「うん? モンジじゃない。おはよ。なんでそんなトコでコソコソしてんの?」

噂をすればなんとやら。
その噂の人物である鳴央ちゃんと音央の六実姉妹が揃って階段を上ってきた。
アラン達とは違い、俺や一之江の姿にちゃんと気づく辺りやっぱり違うなー、なんて思ってしまう。
ちなみに鳴央ちゃんという人物こそ、先の事件で『神隠し』をやっていた少女で。
今は六実音央の双子の姉ということにして生活している。
清楚でお淑やかな黒髪の方が鳴央ちゃんで、強気で薄い茶色の髪をツインテールにしている方が音央だ。

「おはよう。っていうか、二人揃ってモンジっていうのはやめろ。俺には一文字疾風というれっきとした名前が……」

「え、ですが……音央ちゃんが、その方がモンジさんが喜ぶわよ、って……」

うっ。マズイ、血流が……。
はにかみながら、手を胸の前で合わせてもじもじするその姿に思わずドキッとしてしまう。
言葉の内容はさておき、彼女からは俺を喜ばせたいという想いが伝わってきた。
……そんな仕草とかをされたら見逃すしかないか。

「いいじゃない、モンジは所詮モンジなんだし。で、一之江さんと密談?」

鳴央ちゃんに吹き込んだ当の本人はこれだしな。
っていうか、所詮ってなんだよ。所詮って。
俺が一人心の中で抗議していると。

「ちょうど、鳴央さんの話をしていましたよ」

一之江がさらりと告げた。

「え。わ、私、ですか……?」

何故か鳴央ちゃんの頬はさっと朱色に染まり、俺をもじもじと上目遣いで見てくる。
うん? なんだ。
俺何かしたっけ?

「どうせエロい話でもしてたんでしょ?」

反して、じとー、という目で睨んでくる音央。
いやだから、俺何もしてないんだが。
全く同じ顔をしているのに、どうしてこうも印象が違うのだろうか。
元々は同じ人間だったというのが信じられないくらい、二人の個性は完璧に分かれていた。

「胸がFカップという話を」

「っ?? ど、どうしてそれを……??」

っ??。エ、Fカップだと??
白雪や中空知級……或いは二人よりもデカイのかもしれないな。
いや、白雪のバストサイズなんて知らないが。

「こら、鳴央。そこはちゃんと誤魔化さないと。ほら、モンジがエロい目でアンタの胸をじろじろー、って見ちゃってるわよ?」

「は、はぅっ」

音央の言葉に鳴央ちゃんは慌てて自分の胸を隠すように押さえたが。
そんな態度すら、大変奥ゆかしくてたまらなくなる、
特にこっち(・・)の俺には。

「ご馳走様です」

「拝まれましてもっ!」

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