暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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一之江は基本面倒くさがり屋なので、こうして保留にすることが多いのだが。

「うーん……」

「そのうちイヤでも解りますよ」

不思議そうな顔をしていたからか、一之江は溜息交じりにそんな返事をしてきた。
俺も、いずれは自分の噂を広める行動をとらないといけないのだろうか。
自己プロデュース、みたいな事を。
極力目立つ行動はしたくないんだがな。

「聞きたいのはそのことでしたか?」

「いや、違うな。っていうか、こんな話題を堂々と人前でしていいのか?」

HR前とはいえ、廊下には学生がチラホラいるんだぞ?

「構いません。私達の話題に聞き耳を立てている人物がいたとしても、それがどんな話の内容かを理解できなければ話半分になりますから」

「へえ……そんなもんなんだな」

「そんなもんです。むしろ、たまに聞こえる会話というものの方が噂になりやすいので、こういう話題は理解されない範囲でバンバンした方がいいとも言えます」

「なるほどなぁ。噂を広めるのにも広めるテクニックとかがあるんだな」

「ええ。理解されない程度の会話でも、『アイツ、もしかして?』という認識をされれば私達ロアはより強くなりますから」

そんな会話をしていたその時だった。
俺達がいる階段の踊り場に向かって近寄ってくる聞きなれた奴の足音と声が聞こえた。

「いやあー、やっぱこう、凄いわけよ、間近で見ると!」

我がクラスの残念なイケメン。アラン・シアーズが友人と思わしき少年達と一緒に会話しながら、階段の下を通りかかった。

「やっぱ、鳴央ちゃんのあれはFカップはいってるとみたね! 姉妹揃ってデカイって、たまらんたらないだろおい!」

F?
なんのことだ?
気になった俺がアランに話しかけようとしようとした時、隣にいる一之江の様子がおかしいことに気づいた。

牛乳(うしちち)女なんてみんな消えればいいんです。っていうか消しましょう!
牛乳呪呪呪呪呪呪呪呪呪……」

「一之江が壊れた??」

リアル呪いの人形である一之江が呪いをかけようとする姿はなんというか、マジで恐ろしいな。
今の一之江を見たらきっとみんなこういうのだろう。

『牛乳を呪う女を見た!』と。

ああ、つまりはこうやって新たな都市伝説が誕生するんだな。

「って、感心してる場合じゃない、落ち着け一之江!」

「落ち着きましょう」

……あ、戻った。よかった。

「話が逸れましたがああして、六実鳴央の名前とFカップという噂は広まり、彼女イコールでかい胸、という認識が世の中に広がっていくというわけです」

そんな説明を淡々とする一之江も凄いが、そうかぁ、鳴央ちゃんはFカップもあるのか……俺的には要注意だな。ヒス的な意味で
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