第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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さいっ。
あなたのキリカより。 チュッ?
いかん、頭痛がしてきた。
それと同時に体中に血液が勢い良く流れるのも感じる。
くっ、静まれ! 俺の血流。
いろいろツッコミたいが、一番ツッコミたいのはモンジ君っていう辺りだな。
まあ、可愛い子からこんなメールを貰って嬉しくないわけがない……なんて思わないがな。
病気持ちには朝っぱらから辛いメールだ。
だが、メールの返信はしておこう。
「俺にはちゃんと一文字疾風という名前があるんだからな、っと」
そんな返信をしながらふと、教室のドアの方を見てしまう。
キリカの体が弱っているのは本当だが、それは病気だからではない。
実際は『神隠し』をなんとかするために力を使い過ぎてしまい、そこで失われた体力や魔力を回復するために自宅療法をしているんだ。
______こないだの事件の時に、魔女の魔術には代償が必要だというのを語られた。
あの時はかなり魔術を使ってくれたり、俺を助けてくれたからその代償はかなりキツイはずだ。
「……ちゃんと休むといいんだが」
もしかしたら、今頃苦しくて大変な目に遭っているのかもしれない。
もしかしたら、今頃あの綺麗な髪や玉のような肌を掻き毟っているのかもしれない。
もしかしたら、また別の五感の何かを喪って、辛い思いをしているのかもしれない。
……そんな事を考えてしまい、いてもたってもいられなくなるのだが、グッと耐えている。
キリカのところに駆けつけても、今の俺では出来る事なんてないからな。
「ちょっと悔しいな……」
『百物語の主人公』、『ハンドレッドワン』。
『不可能を可能にする男』、『煤x、『エネイブル』。
そんな風に呼ばれても、苦しむ親友を助けることも出来ないのなら意味がない。
主人公というのは、苦しむ仲間や人を助けることが出来る奴の事をいうのだから。
そう思うのは、俺が未熟で。
キリカを頼らないと事件を解決出来ないからだ。
「早く、一人前の物語にならないとな」
キリカの席を見ながらそう呟いた時だった。
「おはようございます」
俺の背後を一瞬でとったような、冷たい声が聞こえた。
(なっ、そんなバカな。つい一瞬まで俺は教室のドアを見つめていたのに。ほんの一瞬キリカの席を見ただけで俺の背後を取った……だと??)
ヒステリアモードではないとはいえ、元武偵である俺に気づかれることなく背後を取るとは……やはり油断ならない奴だ。
「『朝のトークタイム』とやらをしてあげます」
「いや、別にしなくていいんだが」
「遠慮はいりません。ほら、とっとと話しやがれです」
「こんな殺伐としたトークタイムなんて御断りだ!」
なんで俺
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