第三部。終わる日常
プロローグ。キンジの日常
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たが一番ムカついたのよ」
何この理不尽さ??
男女差別反対だ。
だが、今の俺はヒステリアモード。
そんな理不尽な暴力を受けても許してしまう。
「悪かったよ。調子に乗りすぎた。
『ボインバスター』を使えなくても音央は音央だ。
俺は今の音央の方が好きだよ!」
「なっ?? ば、バカじゃないの??
バカ、バカのノーベル賞よ」
意味が解らん。
「ふふっ、すみません、モンジさん。
音央ちゃんは照れてるだけですから怒らないであげて下さいね?」
音央の隣にいた鳴央ちゃんが俺の頭を優しく撫でてくれた。
「ああ、大丈夫だよ。音央が素直じゃないのは昔から知ってるから」
鳴央ちゃんみたいな美少女が俺の頭を優しくナデナデしてくれている。
それだけで俺は幸福感に包まれていた。
「ふん。すぐに鼻の下伸ばして。まったくもう……」
「モンジは後でモグとして。「モグなよ??」と、まあ。そんな感じの存在になるかもしれないので気をつけて下さいね」
「そ、そりゃ気をつけるけど……今まであたしが普通に過ごしていたのは、もしかしてたまたまってことなの?」
「音央ちゃんの場合、雑誌モデルとかの時にスリーサイズが掲載されているからですね。
公式発表的なものがどこかにあれば、人はそれを真実と認識するんです」
「それじゃ、音央がいつだって理想なバディをしているのは、周りの人間から『そういう最高のスタイルをしている』と認識されているから……そんな可能性もあるってことか」
「そうなの? あたし、結構頑張って筋トレとかダイエットとかで体作ってるのに」
「そういう努力も広まれば、より確実ですね」
噂によって自分の体が左右されてしまう。
そんな恐怖を感じたのか音央は眉をひそめていた。
「音央ちゃん……」
そんな彼女の背に手を添えて鳴央ちゃんは励ましている。
「ん……大丈夫、ありがとう鳴央。別にそれくらい……なんてことないわ」
音央は下唇を噛み締めながら、前を睨んだ。
音央と鳴央ちゃん。
二人が『神隠し』として犠牲にしてきた人々はもう戻ってはこない。
だけど二人は二人として生き続けることを選択したんだ。
そんな選択をした二人はこれからも、罪の意識と戦い続けながら、償いの人生を歩んでいくことを決意したんだ。
自分が感じる恐怖、そんなものに負けていられないと。
恐怖に負けずに、前を睨む音央の姿は格好良かった。
『ロア』と『噂』と『認識』______ロアとして過ごす以上、これらに気をつけなければ大変なことになる。
それこそ、大切な人を失わせない為に重要な知識なんだと理解した。
そして、そんな彼女らを自分の物語として引き入れた俺は、彼女ら以上の覚悟が必要だった。
音央
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