ターン27 鉄砲水ともう1つの『真紅』(前)
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使ってくるのか皆目見当もつかないけれど、僕はいつも通りやるだけだ。
「先攻は僕。モンスターをセットして永続魔法、水舞台装置を発動!」
僕の後ろにズズズ、と鈍い音を立てて簡易的な竜宮城が組みあがり、周りの風景もカラフルな水草や水車で彩られる。チャプン、と音がして、僕たちの周りがいつの間にやら水中に変わっていた。と言っても無論これはソリッドビジョン、どれほど目の前の水を掻き分けても一点たりとも濡れはしないのだが。
「元相棒に作ってもらったちっぽけな、偽りの平和に満ちた箱庭、かな?なるほど、君にはぴったりのステージだよ。ねえー、地縛神?」
『………』
何が言いたいのかはともかく、とりあえず馬鹿にされていることだけはわかった。それだけで十分だ。
「ああ、ごめんごめーん。僕のターン、神獣王バルバロスを攻撃力1900にして妥協召喚ー」
つい昨日もフランツが使っていたカードが、再び僕の前に現れる。2日連続で同じカードを、まったく違う相手から見るのも珍しい。
神獣王バルバロス 攻1900
「さらに装備魔法、レインボー・ヴェールを装備するよー」
バルバロスの持つ槍が虹色に輝き始める。だが、それ以上の変化はみられず攻守ともに元のままだ。
「バトル、トルネード・シェイバー!」
虹色の槍を掲げての突進を、素早く一振りされたシルクハットが受け止める。器用に片翼でそのシルクハットを支えたまま、紳士服を着たペンギンが挑発的に笑ってみせる。
神獣王バルバロス 攻1900→??? 守1800→2100
遊 LP4000→3800
「へえー」
「水舞台装置の効果で、僕のフィールドにいる水属性モンスターの攻守は常に300ポイントアップした状態になる。さらにペンギン・ナイトメアがリバースしたことで、相手のカード1枚をバウンスできる!吹き飛べ、バルバロス!」
僕の手札にはすでに、2回攻撃を行うことのできるツーヘッド・シャークのカードがある。このまま何もしてこなければ、次のターンで僕の勝ちだ。
だが、さすがにそう簡単にはいかないようだ。バルバロスが虹の槍を振り回すと、バウンスすべく飛び上がったペンギンが逆に風圧に弾き飛ばされて後ろの岩に突っ込んで目を回す。
「レインボー・ヴェールの装備モンスターがバトルするとき、その相手モンスターの効果は無効になるのさ〜。何もないならカードを1枚セットして、ターンエンドさせてもらうよー」
ファーストバトルはダメージを稼げただけこっちの勝ち、と言ったところか。まずはいい調子だ、早いとこバルバロスを処理してしまおう。
清明 LP4000 手札:3
モンスター:ペンギン・ナイトメア(守)
魔法・罠:水
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