暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
50.金色の異端者
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の感覚。
 ───暴走だ。

「いいのかァ? あいつを止めに行かなくて」

 こちらを挑発するように言う金髪の少年。間違いなく彼が何か絡んでいるということは明白だ。

「貴様……」

 アレイストの怒りに満ちた声。しかしそんなことなど気にもしないかのように金髪の少年は声色を変えることもなく続ける。

「いいねェ……その怒りに満ちた魔力」

 暴走している“神意の暁(オリスブラッド)”を止めに行かなければ被害は増えていく一方だ。しかし目の前の彼を止めなければ何か良くないことが起きてしまう気がする。

「……わたしが彼を止めます」

 いつもの声色とは違う唸るような声でアレイストは睨みつける。

「いくらあなたでもそれは無理だわ」

 白衣のポケットに手を突っ込みながら大高京子が一歩前に出る。

「私も残るわ。美鈴と柚木ちゃんは向こうをお願いできるかしら」

 確かにこれが妥当な考えではある。さすがに京子とアレイスト相手にこの少年が互角に戦えるとは思えない。しかし何故だろう。とても嫌な予感がする。
 もし仮に柚木の予想が当たっていたなら二人だけで止めることなど出来るのだろうか。

「わかったわ。彼のことは任せるわよ、アレイストさん、京子」

 美鈴は身体を魔力が絶え間なく噴きだされる病院方向へ向ける。振り向き際に少しだけ見えた右手が強く握られている。
 多分、美鈴も少年が異常だということを理解した上でアレイストたちに任せているんだ。二人が負けるわけがないと信じているからだ。

「彼のことお願いします、アレイストさん、京子さん!」

 柚木と美鈴は振り返らずに暴走する眷獣の方角へと向けて走り出しのだった。

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