暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
50.金色の異端者
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寄っていく。

「外傷はあまりないみたいですね」

 するともう一人の少女が倒れている女性の体に触れる。

「でも、魔力の減少がすごいわね。まるで何かを抜き取られたみたい」

 その言葉を聞いて一瞬、海原が驚愕の表情を浮かべたように見えた。

「とりあえずこの人を安全な場所に運びます。手伝ってもらえますか」

「あ、ああ」

 そんな曖昧な言葉で返事をした。

「って、なんであなたがそれを持ってんのよ!」

 突然、長身の少女が怒鳴るように声をあげた。
 やらかした、と思ったが見えてしまった物はどうしようもできない。
 彼女が言っているのは、彩斗が持っている銀色の長剣のことだ。言い訳をしようにもそんなとっさに思いつかない。そもそもよく考えてみれば彩斗はあの少女からこの武器を奪ってきたということになる。

「い、いや……そ、その……」

 どうしようかと考えているその時だった。

「「───ッ!?」」

 身体中の毛が逆立つ嫌な感覚。これは眷獣が召喚された時のそれだ。しかし、今までのものに比べると異質な気配が空気を伝って肌を刺す。

「……現れおったな」

 海原は異様な魔力が出現した方を忌々しげに睨みつけている。瞳が真紅に染まり、口元からは長く伸びた犬歯がのぞいている。

「吸血鬼!?」

 黒髪の少女が驚愕の声を漏らし、銀の長剣を強く握り直した。しかし海原はまるでそれすら見えていないように出現した魔力の方へと走り出した。

「ちょ、う、海原さん!?」

「悪いけど、六宮のことは任せたぞ!」

 こちらを一瞥することなく海原は砕けた地面を踏み込んで跳躍する。吸血鬼の筋力を解放して軽く三メートルは跳んでいる。
 ここで海原を追うべきか、それとも頼まれた通りに六宮を安全なところにまで連れて行くべきだろうか。

「すみません、この人のこと任せますね」

 彩斗は選んだのは前者だった。地面を蹴り上げ海原が向かった方向へと駆け出した。

「ちょ、待ちなさい!」

 長身の少女の制止の声を無視して地面を踏みしめる。
 獅子王機関が二人もいるならば、六宮を安全なところまで運んでくれるはずだ。ならば彩斗のやるべきことは決まっている。
 ───柚木を助けること。ただそれだけだ。
 地面に散らばる瓦礫を踏みしめながら強大な魔力が出現した方へと足を運んでいくのだった。




 海原と彩斗が六番目と交戦する少し前。
 柚木たちは先ほど出現した魔力を追って街の中を駆けていた。先ほど出現した膨大な魔力の塊。間違いなくあれは眷獣召喚時に生じる魔力のそれだ。しかも、あれほど膨大な魔力を放つことができる眷獣などかなり限られている。真祖、あるいはそれ同等の力を持つものたちで
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