暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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おり、普通なら視野を確保するために設けられているゴーグルはなく、かわりに引っ掻いたような小さな二つの切れ目がその役割を果たしているようだった。ガスマスクの要である
吸収缶
(
キャニスター
)
はどこにあるかと言えば、マスクの右側面に追いやられていた。その大きさもそこまで大きいものではない。
さらに目を引くのが、そのマスクに施されたペイントである。目を出す切れ目を中心に派手な赤と青の原色で毒々しく彩られ、鼻があろう中心にはピンポン玉くらいの真っ赤なボールが一つくっついていた。
マスクだけを見れば、十人が十人ピエロだろうと答えるようなものだ。それにしては着ている服は全然それっぽくはない。
ネットで頭のネジが多少緩むかブッ飛んでる輩などキリがないので、ホールにいたプレイヤー達は最初こそ目を剥いて注視していたが、特に何のアクションも起こさずに空間を静かに横切っていくソレにやがて興味を失ったかのように目線を逸らした。
「どう?」
ホールの奥まったほうで足を止めたそのプレイヤーは、誰ともなくそう言葉を紡ぐ。ガスマスクのせいか、ひどくくぐもって男か女かはまったく分からない。
返事は、すぐに返ってきた。しかも、一つではない。《そこかしこ》から滲み出るように、次々と声が放たれる。しかし、どの声にも妙な金属質エフェクトがかかっていて、ひどく耳に障った。
『見ツけた』
(ミつケた)
"見ィつけたァア"
キシ、キシシ、キシシシシ、と。
梢がこすれ合うような音を立てて、ソレ
ら
(
・
)
は嗤っていた。
そう、と満足げに呟き、その黄色マントは後ろに向き直った。
そちらには誰もいない空間なのだが、明らかにその無機質なゴーグルは見えざる何かをとらえていた。
「やっと……やっとこの時が来た」
〔ぜ、ぜッ剣は…ドウする、の?〕
?黒ノ剣士サまも来テる……ぞ?
ふむ、と道化師の仮面が思慮深そうに言葉を口内で転がした。
「黒の剣士は放って置いてもアレが勝手に相手をしてくれる。大したことじゃない」
絶剣は?と問うてくる無数の瞳に、くすくすという汚れたいらえが返される。
直後、放たれた言葉は端的かつどこまでも酷薄だった。
「潰せ」
御意、と数十人は重なる声が消滅すると同時、ピエロはおもむろに懐に手をやり、一本の試験管を取り出した。何の変哲もない、細長いガラスでできた試験管。
その底部には、光さえも呑み込むかのような闇をそのまま切り取ってきたかのような小さな黒い金属片が放り込まれていた。それは時折思い出したかのような震えを発し、一定間隔で内部から血のごとき毒々しい真紅の光を発していた。まるで、震えは鼓動、光は瞬きのようである。
あぁ、と。
ピエロはそれをマスクの頬に摺
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