辛勝凱旋
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後は私がするわ。これ以上他のファミリアの人と一緒にいるのはまずいでしょう?」
と、一部始終を呆然と眺めていたリズに言った。
「あ、ありがとうございます。お願いします」
我に返ったリズは慌てて答え、頭を下げるとミネロヴァに背を向けた。
「そう言えば、君の名前を聞いていなかったわね」
その背にミネロヴァの呼び止める声が掛けられた。
「あっ、私はリズって言います」
「そう、リズって言うのね」
と、至って優然と言ってから、ミネロヴァは語調を変えて
「デイドラを横取りしようだなんて思わない方がいいわよ――私とどこかのエルフと神の怒りを買いたくなかったらだけれど」
と言った。
その声は先程の優しく包み込むようなそれでも、艶かしいそれでもなく、万人を凍り付かせられるようなそれだ。
「な、な、なんのことかわかりませんねー」
誰が聞いても動揺しているとわかる声でリズは搾り出すように言った。
「そう、それならいいのよ」
その返答に対し、ミネロヴァは中身が伴っていない笑みを浮かべる。
「では、これで」
とだけ言うと、かくかくとした動きでその場を去った。
それを見送ってミネロヴァは再び胸の中で寝るデイドラに目を落とした。
「私から話せる魔法のことはすべて伝えたわ。後はあなた次第よ」
そしてその耳元で呟いた。
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