第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
ナルト
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九尾チャクラは毒のように彼女の経絡系の中を巡り、力を失った彼女が地面に崩れ落ちる。
「いっ……」
ケイがクナイを構えてつかつかとテンテンに歩み寄る。やばい、と思いながらナルトは咄嗟にケイに体当たりをした。ケイがよろけたその隙に印を組む。
「多重影分身のじゅっ……!?」
しかし。
多重影分身の印を組んだ筈が、出てきた影分身はたったの二つだった。
ぐわんぐわんと視界が揺らぎ、吐き気がする。チャクラが切れかけているのだ、そのことを知った時にはもう遅かった。
「君の九尾チャクラを吸い出させてもらった……でも、九尾チャクラだけなのは毒だから……君本体の持つチャクラも一緒で……吸い取った。だから今の君には……もうチャクラはない……」
「……ッ!」
必死にチャクラを練り合わせようとする。自来也は言っていた、ナルトの中には二種類のチャクラがあると。ナルトのチャクラと九尾のチャクラだ。九尾のチャクラをなんとかして必死に引き出そうとする――
「逃げろ……ナルト」
苦しそうな声に振り返れば、ネジがそろそろと立ち上がるところだった。両腕からは血を流したまま、苦しげに目を細め、脂汗を流し、荒い息をつきながら。
「……木ノ葉崩しが……っ起こってるの……ッ!」
地面に這いつくばっていたテンテンが、体を起こそうと必死になりながら言った。その言葉に目を見開くナルトとネジにはかまわず、テンテンは任務内容の記された巻物をナルトに握らせる。
「木ノ葉を……ッ!!」
言いかけたテンテンの体が吹っ飛ばされた。木に体をぶつけて地面に蹲るテンテンの姿を冷たく見下ろすのはミソラだ。
ぎりり、とナルトは唇を噛み締めた。彼らとナルトは別段親しいわけでもない、なのに何故自分を助けてくれたのだろう。とりわけネジは、ナルトもあまりよく思っていなかったくらいだ。なのにどうして?
彼らがこんなに苦しんでいるのに。自分を庇ってくれた少年と、自分のチャクラを体に流された少女が、二人して苦しんでいるのに、ナルトはチャクラ切れしているという以外には全くの無傷でここにいる。なんて役立たずなのだろう。悔しくて悔しくてたまらなかった。
こんな男が。
仲間も救えなくて。
こんな男が。
火影になれるはずなんて、ない。
助けたいのに。
そんな力もなくて。
こんな男が、火影になんて――なれるわけない。
ミソラがテンテンの体を掴み上げ、投げた。ネジが傷ついた両腕でそれを受け止めようとし、受け止めきれずに二人そろって地面に転がった。ネジの両腕の傷は更に深まり、血がどっと溢れ、ネジが苦しみに呻きをあげる。
いや、違う。
仲間も救えないんじゃない。
救わなければ。
火影になれるはずないじゃな
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