第一部
第三章 パステルカラーの風車が回る。
ナルト
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「なんだ……って……ばよ……?」
ひどく懐かしい感覚がした。まるで折れた木の枝が、自分がもと生えていた木の中に戻っていったかのように。ケイの虚ろな瞳がナルトを捉え、そしてケイが片腕を上げた。そこから溢れ出たオレンジ色のチャクラが、ナルトの臍と繋がる。九尾の封印式が存在している場所だ。ぐったりと地面に膝をつく。力が出ない。揺り籠の中でゆすられているかのような安らかな感覚。朦朧とする意識の中、取り乱したネジの叫び声がする。
「ナルト!? ナルト! まさか幻術にっ……!」
「それは……違う。桂男は……九尾のチャクラを……おさえつける。月に……生きてた……から」
緩慢な口調で説明するケイに、ネジの混乱は深まるばかりだ。
「九尾? どういうことだ?」
「あっれえー、白目っ子くん知らないのー? 十三年前、里を襲った九尾の狐。それを封印されているのが、この子だよ」
「人柱力は最高機密。知らないのも無理はない」
からかうような口調で問いかけてくるカイナの傍らでミソラが呟く。話すたび真っ黒い歯が覗いた。
するり、とミソラの片腕が持ち上げられ、その手の中に櫛が現れた。それを掴み、弾き飛ばす。
「青行灯流・櫛刺し」
白眼でそれを見切り、かわすが、櫛は空中で回転すると、再びこちらめがけて飛んできた。柔拳でそれを破壊し、ミソラに柔拳を食らわすために前方に向かって跳躍する。しかしその前にカイナが立ちはだかった。
「病遁・破銅爛鉄っ!」
迫り来る異臭を発する手裏剣を手裏剣で打ち返したその時には、既にカイナが下方に迫っていた。
――速いっ……!
呪印の影響だろう。禍々しいチャクラを放ちながら迫ってきたカイナのスピードは前回のそれとは比べ物にならないほどで、カイナの拳が腹に命中する。空中に跳ね上げられるのとほぼ同時、急激に気分が悪くなった。なんとかして上手く着地しようとするが、余りの咳の激しさにバランス感覚が安定しない。激しく咳を続けるネジに、カイナは愉しそうな笑みを浮かべた。
「青行灯流・百物語」
ミソラが印を組み、蜘蛛の足が次々と地面から生え、ネジの体を掴み、土の中へと引き摺り下ろそうとする。眩暈がした。このまま引き摺り下ろされるのもいいかもしれないという考えを慌てて振り払い、チャクラを放った。
「八卦掌・回天ッ」
本戦まで取っておく予定だったが、今は本戦どころではないだろう。自身の体を独楽のように激しく回天させ、放ったチャクラで蜘蛛の足をなぎ払う。ミソラに急接近し、柔拳を食らわそうとする――
「……っ!」
次の瞬間、ネジの右腕を三本の櫛が貫通していた。どっと吹き出る血。禍々しいチャクラを立ち上らせたミソラが微笑し、ネジの首に拳を食らわす。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ