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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
五十四話 凶夜の警鐘 壱
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言うのが七枷の住人達が抱いている虚空という人物への評価である。
 今回の行動もどちらかなのだろうが答えは終わってみないと何時も分からないのだ。

「まぁ虚空の事よりあたしとしてはアイツが連れてきた二人の方が気になるんだけど」

 場の空気を変える為か諏訪子は紫にそう聞いてきた。

 諏訪子の言う二人とは永琳と妹紅の事である。
 妹紅はスキマから出されて虚空を見るや否や狂乱するように襲い掛かった為ルーミアに床に抑えつけられた。それでも暴れ続けていたが永琳が何かしらの薬剤を飲み込ませると死んだ様に眠りに就いたのである
 本当に死んだのではないかと疑問視する周囲に永琳は「唯の催眠剤よ、但し数時間は何があっても絶対に起きないけどね」と楽しそうに微笑んでいた。

「虚空の妹ね……本当なのかしら?て言うかアレ人間なの?」

 ルーミアの疑問は全員が抱いている事だ。そもそも虚空が人間かも怪しい上にいきなり妹などと言われても疑ってしまうのも無理はない。
 加えて虚空が「詳しい事は騒動が終わってから説明する」と言って妹という事以外全く分かっていないのだ。まぁ状況が状況だけに悠長に自己紹介させる暇が無いのも事実である。
 妹紅は別室で寝かされ栞が監視を兼ねてそばに付いており、永琳は隣の部屋で百合が世話をしている。

「あの二人の事はお父様の言う通り終わった後でいいでしょう……一番の問題は――――お父様が『一体何をやらかすのか』でしょう?」

 紫のその言葉に部屋に居る一同が迷う事無く首を立てに振った。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 萃香を閉じ込めている一室で虚空は部屋の主賓となっているその当人と対面していた。

「自己紹介は必要ないよね?」

 何時も通りの軽い態度でそう問いかける虚空を萃香は胡坐を掻いたまま訝しげに見つめている。それなりの時間虚空を観察していた萃香だが今一つ彼の性格・行動理念を掴めておらず、次の行動が全く読めないのだ。

「…………で、何しにきたのさ?御仲間から聞いてるだろう『絶対に何もしゃべらない』って」

 萃香は突き放す様にそんな言葉を吐くが虚空は表情を変える事も無く、

「君の親分の百鬼丸は熊襲と組んで大和と戦争を始める気だよ、それはもうすぐにでも。そうなれば君の仲間も死んじゃうよね?大和がどれほど屈強か知ってるでしょ?それは悲劇だ!自殺願望と一緒だ!でも今それを防げるのは君しかいない、そう君だけなんだ萃香!」

 そう一方的に捲し立てた。
 それを聞いた萃香の表情は先程と何ら変わる事はなかったが内心は非道く動揺していた。今迄感じていた不安や疑念が最悪の形で当たっていたと。
 虚空の言葉を鵜呑みにした訳で
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