第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
五十四話 凶夜の警鐘 壱
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の鋸を振りかざしながら、
「下らない事言ってないで素直に喋りなさいよッ!でないと両手足をこれでぶった切るわよッ!このへそ曲りの小鬼がッ!」
そう叫び萃香に飛び掛かろうとする紫を諏訪子とこいしがしがみ付く事により何とか阻止する。
「気持ちは分からなくもないけど、ちょっと落ち着きなよッ!何時ものあんたらしくないッ!」
「紫姉さんお願いですから冷静にッ!」
二人が必死に紫を押し留めている向かいでは、
「やれるもんならやってみなッ!この性悪がッ!」
「ちょ、ちょっとッ!無駄に紫お姉ちゃんを挑発しないでよッ!」
逆に紫に飛び掛かろうとする萃香をこいしが押し留めていた。そもそも非力なこいしに止められるほどに力を封じられているにも関わらず強気なのは萃香本来の性質なのだろう。
そしてこの大騒ぎは結構な時間続いたという――――――――。
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「――――と、いう事があったんです」
七枷神社の居間でさとりが虚空の身体に包帯を巻きながら、溜息を吐きつつ数時間前のやり取りを説明していた。
「アッハハハハハハハッ!!」
それを聞いた虚空は大爆笑し、当の騒動の首謀者の片割れである紫は卓袱台を指で叩きながら不機嫌そうにそっぽを向いている。
時刻は既に日付が変わりかける手前で七枷の郷の住人の殆どは床に就き、夜虫達の鳴き声が安眠を誘う子守唄の旋律の様に静寂な町々に響き渡る。
しかし郷の中心に位置する七枷神社の社務所の一室には明かりが灯され、神奈子を除く神社の主要な人物達が集まり話し合いの場が作られている。
京の都で紫と合流しスキマを使って七枷の郷に戻ってきた虚空は傷の手当を受けながらこれまでの経緯の説明を受けていた。
笑い声を上げる虚空に諏訪子は呆れを含んだ顔をしながら、
「もう!笑い事じゃないよ!大変だったんだからッ!それにあいつが喋らないと手詰まりなんでしょ、どうするのさ?」
そう問いかけられた虚空はさとりとこいしに声をかける。
「そうだね……それで二人から見てその萃香って鬼は説得や拷問で口を割りそうかな?」
虚空の問いに二人は思案するような仕草をした後、
「……無理……でしょうね。あの方は本当の意味で『死んでも喋らない』でしょう」
そう言うさとりの後をこいしが続ける。
「多分あの人、私達の能力を知ってたんだね。それを差し引いたとしても凄いよ――――心に仲間の事を全く思い浮かべなかったから」
“心”というものは言葉と違い着飾る事が出来ない。どんな存在であれ心情は明快で明確な形でしか形成されない。
“心を無にする”“考えない様にする”という行動があ
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