第十六話
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の距離があるのに、締め付けられるような圧迫感を感じている。これまでにない強敵だ。
(・・・まあ、だからこそやりがいがある・・・!)
この状況を作り出した運命や神に感謝すればいいのか恨めばいいのかわからず、葵は苦笑する。階段を上るための丁度いい試練だと思えば嬉しいが、海鳴市が壊滅する可能性を考えれば全く歓迎出来ない事態なのだ。
「とにかく、俺はこのまま先に行く。出来るだけ早く来てくれ。」
『わ、わかったの!』
葵はそのまま、海へと走っていった。
★★★
「見てください!凄まじい嵐です!我々は昨日巨大生物が撮影されたとされる海鳴市の海岸にやってきていました!しかし、到着してから間もなく、突如としてこれ程の嵐になったのです!更には、この嵐は極々局所的な嵐で、この海鳴市でしか観測出来ていません!隣の市ですら晴天が続いており、この異常気象の原因は分かっていない状況です!」
海岸線には、運が悪いことに少なくない数の報道関係者が存在した。今日の新聞にも載せられた巨大生物の取材をするためである。ここ最近海鳴市は不可解な事件が続いており、マスコミにとってはいいネタだったのだ。
しかし、到着してみれば突然の嵐。それも、海鳴市でしか観測出来ないという異常気象である。普通なら逃げ出しそうなものだが、記者魂を発揮して特番が組まれていた。
それを影から見つめるのは葵だ。
「どうするんだよこれ・・・。出れないぞ・・・。」
頭を抱える葵。何故なら、先ほどから感じている強大な力の持ち主が、どんどん近づいて来るのを感じているからだ。だが、これ程のカメラがある中で出ていくのは自殺行為である。科学は侮れない。いくら葵が視認できないほどの速度で動いたとしても、画像解析でバレるかもしれないのだ。
(ああ!贅沢言わないから結界を貼れる能力が欲しい!)
切実に願っていた。今だって、もうすぐ敵が姿を現しそうなのに、なのははまだ時間がかかるのだ。戦闘能力という点で言えば葵は十分なものを持っているが、結界を貼れないというただそれだけで苦悩している。
(くっそ!悩んでる間に時間切れか!?)
あと一分もあれば敵は姿を表すだろう。葵にしてみれば、嵐だというのに海岸にいる報道関係者の命などどうでもいい存在だ。彼にとって報道関係者とはスクープなどという訳の分からないモノに、一番大事な命をかけてしまう大馬鹿者だ。津波に飲まれようが今から現れる化物に食われようがどうでもいい。
葵が気にしているのはただ一つ。それは、なのはが心に傷を負うことである。
この事件で誰かが怪我をしたり死んだりすれば、彼女は自分を責めるだろう事は容易に想像ができた。”私が間に合わなかったから”とか考えてしまうだろ
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