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駄目親父としっかり娘の珍道中
第75話 子供ってのは何処までも我が道を行くもの
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 現に、目の前では銀時が倒した筈のゲル状の化け物が体を再構築させて起き上がりだしたのだから。

「おいおい、RPGで言う作業げーですかい? そう言うのって飽きられ易いんだぜ」

 軽口を叩く銀時の耳に異様な音が届いた。それは燃え盛る炎の中からだ。視線を炎の中へ移す。その中からは、目の前のゲル状の生物と同じ化け物が何体も姿を現してきたのだ。
 その総数は見ただけでもざっと20体近くはいる。恐らく培養液に入っていた紅桜が全て同じ姿を象ったのだと思われる。

「くそっ! あのバカ兄貴。一体どんな化け物刀を作ったんだ? これじゃ刀じゃなくて正真正銘の化け物じゃねぇか!」

 悪態をつく銀時の周囲にはゲル状の化け物の軍勢がそびえ立っていた。殺す事が出来ない怪物を相手に、銀時は白夜を握り占めて立ち塞がる。
 生憎愛用の木刀は手元になく、あるのは絶賛不貞腐れ中の白夜が一本しかない。

「ったく、不貞腐れるんだったら状況を見て不貞腐れろってんだ!」

 愚痴を零しつつ、銀時は周囲を見たわした。白夜だけでは殺傷能力が低い。何か適当な武器になる物はないか?
 銀時はとっさに壁際に走った。壁に幾つもくっついている鉄の配管の一つを強引に抜き取る。力任せに引きちぎった為か断面はとがり危険な形に取れていた。
 少々情けないが今の白夜よりは殺傷能力はありそうだ。銀時は鉄の配管の尖った方を目の前にいるゲル状の怪物目がけて投げつけた。
 配管はゲル状の怪物の体に深く突き刺さる。しかし、刺さった後から配管が泡を吹いて溶解してしまった。奴の体に触れた物体は跡形もなく溶けてしまう。
 それは人体も例外ではない。

「って事は……白夜は?」

 ふと、先ほどゲル状の怪物を両断した白夜の鞘を見た。不思議な事に白夜の鞘には溶けた傾向が全く見られない。付着物の一つも其処からは見受けられなかった。
 どうやら、こいつらに有効な武器はこの白夜しかないようだ。その白夜を手に、銀時は構えた。





     ***




 折角紅桜に絶好の餌をあげてた時に、思わぬ邪魔が入ってしまった。岡田は突然現れた厄介者の出現に出鼻を挫かれる形になっていた。

「私のリボン返せぇ!!」
「ちっ、何なんだぁこいつは?」

 声色と体から感じる重み。そして魂の色から察するに相手は子供、それも女子だというのが分かった。だが、さっきから言っているリボンを返せと言う言葉がどうにも引っかかる。まさか、こいつは昨夜切り伏せたあの子供か?

「やれやれ、折角こいつの餌やりをしてたってのに、大人の邪魔をするのは感心しないねぇ」
「うっさい! それより私のリボン返せ! あれはとっても大切な物なんだ! だから返せ!」
「うるさいガキだ! どうやって俺の元へ
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