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超越回帰のフォルトゥーナ
ep-1─それは突然に舞い降りて
#04
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惑する。そんな彼女を気にも留めず、賭博酒場の住人たちは叫び、喚き、歓喜を告げる。

「お帰りなせぇ、レンさん! あんたの出所を心待ちにしていた!」
「英雄が帰って来るとは……俺は今日、歴史が変わる瞬間を見たぜ……」
「うぉぉぉおおッ! おい見たかお前ら、《伝説》が最初に話しかけたのは俺だぞ!」
「ンなわけあるか、俺だッつーの!」
「いいやアタシだね!」
「レンさん、はっきりさせてくだせぇ!」
「レンさん!」
「レンさん!」


 ギラギラと目を輝かせて、詰め寄る男達。

「……どういうことなの?」

 それを見たマリアが…恐らくは冷たい目で…こちらを睨んできた。いろいろあったんだよ、と目線で答えると、レンは再び彼らに向けて告げる。

「お前たち、すまないが――――」

 だが、その瞬間だった。


「だぁぁぁッ! 煩っさいんだよお前ら! 集中できないだろうが静かにしろ!」


 ホールに、聞きなれない声が響いた。

 声質は男の物だろうか。だが、比較的高い、というよりかは、若い感じがする。基本的にこのカジノバーには二十代から三十代、果ては五十代までの男や女が集う為、それは珍しい事だった。

 人波を掻き分けて、その声の主が姿を現した。

 黒いスーツを着崩して、一見獣の鬣の様に見える黄金の髪を靡かせた、細身の少年だった。

 快活そうな瞳を鋭く細めて、少年はレンを睨む。

「あんた、誰だよ」
「……レン。レン・ネイビィフィールドだ」
「ふーん……何の用?」
「ここの住人達に話があって来た」
「あっそ……あのさ」

 瞬間。

 レンの目の前に、何かがかざされていた。細長いスローイングピック……もっと砕けた言い方をするならば、『ダーツの矢』だ。

 その速度、光の如し。レンの動体視力を以てしても、ほとんどその初動が見えなかった。

「あんたが此処の奴らにどれだけ慕われてるのかは知らないけどさ、今、ここの元締めはおれなんだよね。勝手に話しされても困るんだ……そう言うルールだって、知ってるんだろ?」

 黄金の少年が口にしたのは、このカジノの秘めたるルール。

 頂点に立った者が、全ての者たちについて責任を負う。それは利点でもあり、弱点でもある――――

 以前、レンはその立場にいた。自身がいなくなってから誰がその座についていたのかと思ったら、どうやら新参者の少年が頂点を手にしていたらしい。

 このカジノにおけるゲームの多くは、《超越回帰》を多少なりとも使えるか、相当な技術があることを前提として創られている。つまり、この少年もまた、《担い手(カルマドライバー)》なのだろう。

 そう、それは既に確信であった。なぜなら先ほどから、レンは少年の頭上に
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